本当に優秀な人は、実は採用市場に出てこない──では、どう採用するか?:DX人材がいない!(1/4 ページ)
採用競争の激しい現代、ただ待ち構えているだけでは、欲しい人材は自社のドアをノックすらしてくれません。どの会社も欲しがる魅力的な人は、実は中途採用市場に出てくることなく転職するケースも多いです。企業は、戦い方を変えなければなりません。
「エンジニアが足りない」──この言葉が今、採用市場で合言葉のように繰り返されています。あらゆる企業がDXを唱える中、エンジニアの他、プロジェクト責任者やデザイナーなど、いわゆる「DX人材」採用の難易度は非常に上がっています。
採用競争の激しい時代において、引く手あまたの人材に企業はどうアプローチすれば良いのでしょうか。ウォンテッドリー人事部長の大谷昌継氏が執筆します(以下、大谷氏)。
待ち構えているだけでは、接点すら作れない
当社が運営するWantedly Visitは、登録者のうち約3人に1人がエンジニアですが、エンジニア応募者1人に対して企業の求人が10倍以上の状況です。このように、DX人材への需要に対して、十分な人数がいないという事実があります。
こうした状況で、従来の採用の感覚でハードルが高すぎる人材要件を作ってしまうと、実在しない人を探す不毛な採用活動になりかねません。採用可能な要件にするよう、受け入れ部署とすり合わせを重ねてジョブディスクリプションをまとめたり、エージェント任せではなくダイレクトリクルーティングで直接アプローチしたりといった施策は、すでに多くの会社が取り組んでいることでしょう。
日々こうした施策の確度を上げるため、候補者に送るスカウト文を工夫したり、さまざまなサービスを利用してスカウトの送信数を増やしていったりする人事担当者もいるかもしれません。しかし、こうした施策に注力していれば、本当に採用はうまくいくのでしょうか?
どの会社も欲しがる魅力的な人は、多くの場合、すでに企業の垣根を超えたコネクションを持っています。そのためリファラル(知人紹介)やヘッドハントなどで採用が決まることが多く、中途採用市場にはほとんど出てきません。また、運よく中途採用市場に出てきても争奪戦が激しいため、人材紹介会社に登録したら、すぐに決まってしまいます。
ただ待ち構えているだけでは、欲しい人材は自社のドアをノックすらしてくれない。大企業ですら、あぐらをかいて採用するわけにはいかなくなっている時代です。知名度のない会社はさらに戦い方を変えなくてはいけません。
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