正社員男女の年収格差は約200万円、女性は転職で給与が下がる傾向に:50代では300万円以上の差(2/3 ページ)
マイナビが発表した「男女の賃金格差」に関するリポートによると、正社員男女の年収格差は約200万円。女性は「ライフステージ」を重視した転職により給与が下がる傾向にあることが分かった。
転職により給与が下がる割合は女性の方が多い
マイナビが行った「転職動向調査」によると、21年の正社員転職率は過去6年間で最も高い水準だった。同社では過去と比較して転職がしやすくなったことで、待遇改善のために転職をする人も増え、以前より自分の好きなタイミングで働く環境を選びやすくなったという。
男女差を見ると、年収の上下割合に差が生じていることが分かった。直近1年間に転職経験がある男女に前職の最後の1年間の年収と現在の年収の違いを聞いたところ、男女ともに20代では「同じくらい」が最も多く、30〜50代で「現職の方が多い」が5割を超え、60代では「現職の方が少ない」割合が高まる結果となった。
全体の傾向は男女ともに同じだが、数値差で比較すると60代を除いた全年代で女性の「現職の方が少ない」が男性を上回り、女性のほうが転職を機に年収を下げている人が多くなっていた。
女性は給与に「不満」だが
なぜ女性は、男性と比較して転職を機に年収が下がる人が多いのだろうか。マイナビが22年7月に行った「中途採用・転職活動の定点調査」では、現在の給与に対する不満が最も高かったのは女性30代(57.4%)。全年代において、男性より女性のほうが給与に関する満足度が低い結果だった。
しかし、同調査で同じ対象者に、転職をするとしたら「給与の高さ」と「休日、労働時間の適性さ」どちらを重視するかを聞いたところ、「給与の高さ」を最も重視するのは男性20代(57.5%)、「休日、労働時間の適性さ」を最も重視するのは女性30代(64.4%)となり、全年代において男性より女性のほうが「休日、労働時間の適性さ」を重視している結果となった。
上記の結果から同社では、女性の方がライフステージの変化によって仕事に費やせる時間が制限されるため、給与に不満はありつつも、実際に仕事を選択する際には休日や労働時間、その他の項目を重要視せざるを得ない状況が想像できると考察。まだライフステージの変化に差し掛かっていない年代でも数年後の将来を見据えた選択をしており、結果として、転職のタイミングで給与の優先度が男性よりも低くなることが、女性の年収減少につながる要因の1つではないか、と分析している。
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