「失敗のない人生は面白くない」 リアル“オールドルーキー”が話す「やりたいことがない人」の育て方:異才を見いだす「育てるマネジメント」(4/4 ページ)
元吉本興業敏腕マネジャーが、ドラマ「オールドルーキー」のモデルであるスポーツバックス代表取締役澤井芳信さんにマネジメント術を聞く。
失敗も挫折も糧にできる
佐藤: さて、ここまで「やりたいこと」の実現のためにマネジャーができることをお話してきました。やるべきことをやればやるほど、自分も相手も成長していきます。しかし、成長したからといって必ず目標が達成するとは限りません。全力で努力してきたからこそ、その努力が報われなかったときは泥沼に陥ってしまいやすい。相手がそんな状況に立たされているとき、澤井さんはどう対応しますか?
澤井: 対応は人によりますね。遠くから見守る人もいれば、ちょっと背中を押してあげる人もいる。でも、全ての人にいえることは「失敗のない人生は面白くないよ」ということですかね。
これまで何度もお話してきましたが、トライアンドエラーを繰り返して発見できることはたくさんあります。特にスポーツ選手の場合は一瞬の輝きがフィーチャーされがちですが、みんな裏ではそれ以上に多くの失敗や挫折を経験しています。そのときの対応の仕方は人それぞれですね。佐藤さんはどうしていますか?
佐藤: 大半は少しでも“クッ”と持ち直すまでじっと待ちます。落ちれば落ちるほど、そこから持ち直した時は反動でいい上がり方をすることが多いんですよ。逆に、落ちている途中で中途半端にサポートをしてしまうと、せっかくたくさんのものを学べる機会を損失してしまうかもしれない。
冷たいかもしれませんが、落ちている間は僕からは何もしないです。でも、少しでも“クッ”とあがる兆候がみられたら、そこからは全力で相手に向き合います。
澤井: “クッ”とあがるタイミングはどうやって見極めているんですか?
佐藤: 本人から話しかけてくれたら、「持ち直したな」って思うことが多いです。ただ、落ちている間もずっと気にはなっているので、わざと本人の前を通ったり、第三者経由で「マネジャーが気にしていたよ」と伝えてもらったりして種まきはしています(笑)。そうすると、「そろそろ前に進まなきゃ」と思えるようになったタイミングで、あちらから声をかけてくれることが多いんですよね。
僕からは何も言わないけど、その代わり声をかけやすい環境は整えておいて、僕が必要になったタイミングで自分で決断して話しかけてもらう。それが、失敗を最大限糧にしてもらうマネジメント術だと僕は思っています。
(終わり)
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