【今さら聞けない】電子インボイスのPeppolってなんだ?(2/3 ページ)
2023年10月のインボイス制度のスタートに歩調を合わせ、準備が進んでいるのが電子インボイスの仕組みであるPeppolだ。このPeppolとは何か。Peppolのサービス・プロバイダーであるファーストアカウンティングの森啓太郎社長に聞いた。
Peppolに関わる4者と4コーナーモデル
Peppolのネットワークは、電子メールによく例えられる。電子インボイスを送る側(C1)とそのアクセスポイント(C2)、受ける側(C4)とそのアクセスポイント(C3)だ。これはそれぞれ電子メール送信ソフトと送信サーバ(SMTP)、電子メール受信ソフトと受信サーバ(POP/IMAP)に対応する。
Peppolに則って送受信される電子インボイスは、C2からC3へ送られるが、その時送り先の企業に振られたIDが必要だ。このIDを登録し管理しているのが、SMP(サービス・メタデータ・パブリッシャー)と呼ばれるデータベースだ。いわばPeppol内のアドレス帳であり、インターネットでいうDNSのような役割を果たす。
なお、このIDは現状、法人番号とひも付いて発行される。また法人番号を持たない個人事業主などがPeppolを利用する場合、課税事業者になってインボイス発行事業者として登録すると発行される課税事業者番号を使うことが想定されている。ただしそれでは課税事業者しか利用できないため、デジタル庁では区分記載請求書に対応した仕様の整備も進めている。
【追記訂正:10/5 不正確な記載を修正し追記しました。お詫びし訂正いたします。】
このようにC1〜C4の4者が取引に関わるモデルを4コーナーモデルという。これはPeppolに限った話ではなく、クレジットカード取引でも同様だ(ユーザーとイシュア、加盟店とアクワイアラという4者が、決済取引に関わる)。
C1は電子インボイスを発行するソフト、C4は電子インボイスを受け取るソフトで会計ソフトなどが多い。そして、間のC2とC3が、Peppolのサービス・プロバイダーと呼ばれる。
電子メールでは、誰でも送信サーバや受信サーバを立てられる。しかし、Peppolは閉じたネットワークとなっており、国内ではデジタル庁が認可した企業しかネットワークに入れない。認可された企業は「認定Peppol Service Provider」という名称で公開されており、現在3社が認定を受けている。ファーストアカウンティングは、TKCとともに日本で初めて認定を受けたプロバイダーだ。
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