「上司がテレワーク反対派」3人に1人が苦悩 「優秀者のみ許可」「残業代なし」はセーフ? アウト?(3/4 ページ)
「テレワーク反対派」の個人は少ないが、「上司がテレワーク反対派」で悩んでいる人は多い──そんな結果が、Yahoo!ニュースとITmedia ビジネスオンラインの共同調査で判明した。トラブルとなり得る社内の言動やルールとは? テレワークをめぐる従業員と経営者のすれ違いの実態について解説する。
現場層のテレワークを禁止・評価しない企業 問題点は?
例えば、アンケートの個別回答に下記のようなコメントが寄せられた。
「上層部は在宅しているのに、他社員は禁止。ちゃんと働いているか分からない、と。また、会社のPCも家に持ち帰ってはダメ、クラウド上での作業もできない状況です。在宅での残業や休日作業も手当ての対象外で、賞与査定などもマイナスになると言われました」(40代女性)
これに対し、武澤さんは以下のように回答する。
「上層部のみのテレワークに関して、会社として生産性を上げるために、このような線引きをするのは合理的で、特に問題はありません。ただ、このような不満が出ているということは、『会社がどういう理由でテレワークの可否を決めているか』を正しく社員に伝えられていない可能性が高いでしょう。
また、在宅での残業や休日作業が手当の対象外というのは、労基法違反が疑われます。働く場所が変わっても、働いた分の給与は払わなくてはいけないのは同じです」
一定層のみテレワークOK 注意点は?
他にも「テレワークは、業務成績が良い者だけが認められている」(40代女性)というコメントがあるが、こうした能力に応じた線引きも、労務上の問題はないと武澤さんは説明する。
ただし、「『24時間監視されずに、お前は怠けずに与えられた業務を全うできるのか?』と面と向かって言われた」(60代男性)というコメントに対しては「注意が必要」だと話す。
「『お前は怠けずに業務を全うできるのか』などの指示は人格否定に近く、『言い過ぎ』とも考えられ、パワハラの懸念があります。また、この例ではテレワークは許可されていないのだとは思いますが、本当に『24時間監視』を実現してしまうとプライバシー上の問題にもなります」(武澤さん)
職種の違いなどはもちろん、個々の能力によってもテレワークができるかどうかは異なってくる。企業にそれらの判断の裁量があるため、一定層のみのテレワーク許可は問題ない。
ただし、その線引きをするうえで一部の人を懲罰的にテレワーク不可としたり、理由を告げる際に人格否定ととられかねない発言をしたりすることは問題になる可能性がある。さらに、「監視」と「管理」を取り違えないことも重要だろう。
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