ドンキ「色褪せ知らずの黒パンツ」がヒット 「80回洗濯してもOK」と控えめにアピールした理由:3分インタビュー(3/3 ページ)
「洗っても洗っても洗っても洗っても洗っても洗っても洗っても全っ然色落ちしない!!」と銘打つ黒ズボンを、ドンキが販売している。「80回洗濯してもOK」と控えめにアピールした理由を聞いた。
「色あせしない」 どのように検証したのか
――「80回洗濯しても色褪せない」とありますが、全く色が変わらないということですか? どのように検証しているのでしょうか?
向: 80回洗濯してもほぼ色が変わりません。今回は効果を実証するために2つの実験を行いました。1つ目は、生地の状態でどこまで色落ちしないか、公的機関で検査を実施。80回まではほぼ確実に「色に変化はない」と実証しました。80回を超えてくると若干の外観変化が見受けられたので、100回でも大差はなかったですが、しっかり正直に「80回まで色が変わらない」と伝えています。
これはあくまで生地のデータなので、実際に商品でも効果が持続するか確かめる必要がありました。そこで2つ目の実験として、実際に洗濯して乾かしてを繰り返し、外観変化を逐一チェックしました。自宅で、ノートに「正」の字を書きながら地道に確認しましたね。一般的な商品は80回洗濯すると縫い目が白っぽくなり、全体的にチャコールグレーっぽい色に変化しました。しかし「色褪せ知らずの黒 ストレートパンツ」は80回を迎えてもほぼ変化がなかったため、自信をもって「80回洗っても全然落ちない」というフレーズで販促をしています。
売り場では実証実験の様子を動画で放映しており、お客さまに商品の魅力を理解してもらえる材料になったと感じています。
――開発で苦労したことはありますか?
向: 低価格を維持しながら品質を実現することには苦労しました。染料を変更することでコストがかなり上がってしまったため、(1)長期・大量販売を前提にパートナー企業と交渉、(2)原産国を変更し、人件費や物価を抑える、という2つのアプローチを実施。あとは情熱で低価格を維持しています。他の衣料品よりも少し利益が少なくなっていますが、それを踏まえても税別1990円は死守したいと考えていました。
――今後、商品をどのようにアップデートする予定ですか?何か展望などがあれば教えてください。
向: 20年9月に発売した商品は綿とポリウレタンで生地を構成していました。21年のリニューアルでストレッチ性を増すためにレーヨンを追加したのですが、これにより「光の反射が強まり、黒の色合いが少し薄く見える」というご指摘をいただいています。今後は、履き心地やストレッチ性、ホコリの付きにくさなどの品質を担保しながら、ビジュアルとして「黒さ」をどう追求していくかを考えていきます。
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