「ジーユー以上、ユニクロ以下」の価格帯で勝負 FOREVER21、日本市場で“三度目の正直”となるためのカギは?:磯部孝のアパレル最前線(1/3 ページ)
2023年、日本市場への再チャレンジを発表したFOREVER21。過去に二度の撤退を経験しながら、今回を“三度目の正直”とできるか。勝負する価格帯は、「ジーユー以上、ユニクロ以下」となり、激しい価格競争も想定される中、成功のカギはどこにあるのか。専門家が分析する。
2023年4月にFOREVER21が日本へ再々上陸する。19年10月末の撤退から約3年半振りのお目見えとなる。00年に三愛(現在の株式会社Ai)と提携して2店舗を出店し、1年ほどで撤退していたことを加えれば、来年の日本再上陸は“三度目の正直”となるのか、大きなカギを握っているといえる。今回は、成熟を迎えつつある日本のアパレル環境と照らし合わせながら、成否の公算について考えてみたい。
まず、なぜ二度の撤退を経験しながら、また日本への進出を決定したのかを振り返ってみよう。今回、FOREVER21の日本再々進出となったきっかけは、20年に米連邦破産法11条の適用申請に端を発した、オーセンティック・ブランズ・グループ、ショッピングモールを所有するサイモン・プロパティ・グループ、投資会社ブルックフィールド・プロパティ・パートナーズと3社による買収だ。
買収後のリブランディング方針として、直接投資の運営リスクを控え、ブランドの圧倒的な知名度を生かしながらローカライズ(現地化)していく戦略に転換した。具体的には、中米や南米、フィリピンなどの既存店舗も含め、ライセンスパートナーショップ契約に切り替えていく形だ。
そうした戦略転換の中で、「EDDIE BAUER(エディー・バウアー)」「Reebok(リーボック)」など、日本市場へのライセンス実績のある伊藤忠商事とライセンス契約を交わした。さらに、その伊藤忠商事がサブライセンス契約を結んだのがアダストリアグループの子会社ゲートウィンという流れで、FOREVER21の三度目の日本市場への挑戦が決まった。
振り返ると、日本でFOREVER21が注目を集めたのは09年4月の原宿店オープンからだ。前年(08年)の8月には、H&Mの日本1号店が銀座にオープンしており、外資系ファストファッションに勢いがあったころだ。その後、FOEREVER21は「安くてカッコいい」をウリに、撤退した19年時点では全国に14店舗を展開していた。店舗のオープニングイベントを含め、各種メディアに取り上げられるなど一時は人気に勢いはあったものの、チープな素材感・雑な縫製など安さなりの品質もあって、客離れが進んだ結果、日本からの撤退となったわけだ。
では、新生FOREVER21はどう生まれ変わるのか。
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