ブランド品を激安で提供する「オフプライスストア」 日本での拡大が難しいワケ:磯部孝のアパレル最前線(1/4 ページ)
ゲオHDがアパレルリユース事業に次ぐファッションビジネスとして力を入れているのが、オフプライスストア業態の「LuckRack(ラックラック)」だ。筆者の磯部氏は日本でのオフプライスのチェーン展開のは難しいとみている。その理由は?
かつて「ゲオ」とえば、映像や音楽ソフトのレンタル店をイメージしただろうが、それらの市場が縮小する中、リユース事業へ一段と重きを置いていることをご存じだろうか。
ゲオホールディングスが発表した2022年3月期決算によると、売上高は3347億8800万円(前年同期比2.0%増)、営業利益は81億7300万円(同89.6%増)、純利益は59億8500万円の増収増益。成長を支えたのがリユース事業で、売上総利益の構成比は56.0%にまで伸長している。
リユース事業は、アパレル、ラグジュアリーを中心とした「リユース系」と、ゲーム、スマートフォン関連の「メディア系」に大別される。特にアパレル、ラグジュアリーを中心としたリユース系は、外出自粛の緩和や高級時計などの海外市場の盛況もあって、海外卸売りが引き続き好調のようで、売上高は1116億4800万円(同142.7%)と大幅に伸長した。
その中でもアパレルリユースを中心とした業態「2nd Street(セカンドストリート)」は、23年3月期までに800店舗体制を構築するための出店を継続。人々の外出機会の増加も相まって、さらなる売り上げ増加を見込んでいる。
そのセカンドストリートは店舗タイプがいくつかあって、あらゆるアイテムの販売、買い取りを行うフルスペックリユース店「Super 2nd Street」やアパレル特化型、買取専門、ラグジュアリーブランド専門、アウトドア専門など、全国に700店舗以上を展開。商圏や売り場面積に応じた業態で出店を続けている。
そんな同社が、アパレルリユース事業に次ぐファッションビジネスとして力を入れているのが、オフプライスストア業態の「LuckRack(ラックラック)」だ。
そもそもオフプライスストア業態とは、製造から小売へと流通していく過程で生まれた余剰在庫を安く仕入れ、メーカー小売価格よりも安く販売する仕組みのこと。
現在のファッションビジネスにおいて、100%の受注生産をしない限り需要と供給を一致させるのは難しい。特に手に入れやすい価格帯の商品ともなれば、需要予測数を盛り込まない限り、商品を生産する事は出来ないのが現実である。地球環境への負荷という視点で、新品衣料品の大量廃棄の削減を業界全体で取り組んではいるものの、そう簡単に解決できるような課題ではない。
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