ブランド品を激安で提供する「オフプライスストア」 日本での拡大が難しいワケ:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
ゲオHDがアパレルリユース事業に次ぐファッションビジネスとして力を入れているのが、オフプライスストア業態の「LuckRack(ラックラック)」だ。筆者の磯部氏は日本でのオフプライスのチェーン展開のは難しいとみている。その理由は?
フプライスストアを出店する企業が増加
LuckRuckは、2019年4月に1号店「コーナン港北インター店」(横浜市)を出店。現在は、ポップアップも含め20店舗にまで拡大し、21年7月には、東京23区内初の店舗として「東急プラザ表参道原宿店」をオープンした。
原宿という場所がらか、ビッグメゾンブランドやハイブランド、デザイナーズブランドの商品を充実させ、アパレル小物以外にも、デパートコスメや韓国コスメもラインアップしている。
同店は期間限定のポップアップ店との位置付けで、知名度アップを狙った出店との意図があるようだ。日本ではオフプライスストア業態の認知がいまだ低いために、果たして狙い通りの成果が得られるか注目したい。
実は近年、オフプライスストアを出店する企業が増えていて、ワールドとゴードンブラザース・ジャパンが共同出資した「アンドブリッジ」は5店舗、オンワード樫山の「オンワード・グリーン・ストア」(2店舗)などがその例だ。ビームスも20年6〜8月に期間限定で「BY BEAMS青山」を出店していた。
アパレル在庫処分を手掛けるshoichi(ショーイチ、大阪市)が運営する「Colors」(国内30店舗海外9店舗)は、日本のファッションストアとして、マレーシアやカンボジアなどアジアでの出店を進めている。また、1954年創業のタカハシ(神奈川県相模原市)は、オフプライスストアのチェーン化を目指し、東京、神奈川、埼玉の首都近郊3都県に43店舗をドミナント出店している。
昨今のグリーンエコノミーの流れにも乗って、オフプライス業態へ参入を試みる企業は、これからも増えてくるかもしれない。しかし、日本のオフプライスストアの出店戦略を振り返ると、実験的なポップアップや海外進出、ドミナント出店と実に多様で、裏を返せば、利益を生み続ける仕組みが確立できていないことを示しているのではないだろうか。
商品をつくる訳ではなく、余剰品をその都度、調達しなければ売り場の維持すら出来ない。調達するにしても、余剰品であるため、色、サイズなどを一定量確保できるという補償もない。言い換えれば、売れ残り商品を、コーディネートや陳列手法によってブラッシュアップさせて再販する訳だから、魅力的な売り場を維持継続させるには、それ相応のスキルが求められるはずだ。そこで、日本でのアウトレットショップ人気の理由と照らして考えてみたい。
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