ブランド品を激安で提供する「オフプライスストア」 日本での拡大が難しいワケ:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
ゲオHDがアパレルリユース事業に次ぐファッションビジネスとして力を入れているのが、オフプライスストア業態の「LuckRack(ラックラック)」だ。筆者の磯部氏は日本でのオフプライスのチェーン展開のは難しいとみている。その理由は?
アウトレットショップとの違いは?
まず、オフプライスストアとアウトレットショップとの違いについて整理しておこう。オフプライスストアとは先述した通り、「余剰在庫を安く仕入れ、安く販売する店舗」。一方のアウトレットショップは、「製造の過程で発生した傷や汚れが付いた、着用に支障はないものの、A級品扱いにできないB級品を格安価格にて販売する店」を指す。アウトレットモールとは、そうしたアウトレットショップが数多く入ったモールというわけだ。
このような整理をしてみると、少し違和感が残るのではないだろうか。アウトレットモールに入るショップをのぞいても、前述したような“B級品”を見かける事が少ないからだ。
それはなぜか。アウトレットショップも時代背景とともに変わってしまった事が理由だろう。いくら着用に問題のない程度だとしても、傷や汚れのついた商品を、格安だからといって買いたいと願うニーズより、単純に売れ残ってしまった安価なA級品の方にひかれる人の方が圧倒的に多いためだ。
衣料品そのものが不足していた時代であれば、多少の品質不良でも安価であれば商品価値として納得できただろうが、売れ残り商品の破棄量が社会問題視される現在では通用しない。よって、日本のアウトレットに並んでいる商品は、自社で抱える余剰在庫と、アウトレット売り場の鮮度維持のために新たに企画生産された商品が並んでいる。
本来、グリーンエコノミーのひとつに組み込まれていたはずのアウトレットショップでさえ、競争と利益追求を目指した結果、新たな余剰在庫を生む要因となってしまっているのだ。今日のアウトレットショップ人気の理由は、高度に計算されたフルプライスショップの売り場運営に極めて近い状態であることが挙げられる。
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