「ジーユー以上、ユニクロ以下」の価格帯で勝負 FOREVER21、日本市場で“三度目の正直”となるためのカギは?:磯部孝のアパレル最前線(3/3 ページ)
2023年、日本市場への再チャレンジを発表したFOREVER21。過去に二度の撤退を経験しながら、今回を“三度目の正直”とできるか。勝負する価格帯は、「ジーユー以上、ユニクロ以下」となり、激しい価格競争も想定される中、成功のカギはどこにあるのか。専門家が分析する。
再々上陸1号店は、23年4月開業予定の「三井ショッピングパーク ららぽーと門真」(大阪府門真市)への出店が決まった。レディースアパレル、服飾雑貨、生活雑貨などのアイテム約200型を、約123坪のサイズで展開予定だという。アダストリアグループの公式Webストア「.ST(ドットエスティ)」上で2月21日から販売開始することを既に発表しており、ECのオープンから2カ月後の実店舗オープンとなる見込みだ。
また、同時期に関東エリアのららぽーとにも出店を予定している模様で、24年度中は全3店の出店を計画している。新生FOREVER21では、今までのような、超大型or路面店舗での出店は考えていないようで、今回くらいのサイズ感が標準となるのだろう。すると、アダストリアグループ内ではBAYFLOW (標準店舗面積80〜120坪)が、店舗スペースやファッションテイストも含めて近いイメージのかもしれない。
ちなみに、FOREVER21が日本再々上陸を発表した同タイミングで、同じく19年に日本から撤退していたアメリカンイーグルも、再上陸する発表があった。円安の歯止めがかからない日本市場への投資のタイミングとしては悪くない。今後、成長著しいアジア圏からのブランド上陸もあるかもしれない。
ファッショントレンドの視点からも、往時の米国西海岸テイストのカジュアルはリバイバルしつつある。例えば、「スラッシュカット」と呼ばれる直線のカッティングジーンズは、ダメージジーンズを彷彿させるし、肌見せトップスの人気やローライズジーンズの登場などを見ても、トレンドは少しずつFOREVER21が原宿店をオープンした09年に近づきつつある。とはいえ、若年者数の減少とファッショントレンドに対する渇望感の低下から、こうしたムーブメントは“線”としては現れ始めているものの、“面”にまで発展していくには、なお時間を必要とする可能性が高いだろう。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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