進化する賃貸住宅 ジム、サウナに“映画館”付の部屋まで登場 「住む」だけじゃない付加価値のイマ:“おうち時間”増加も影響(2/4 ページ)
コロナ禍を経て、賃貸住宅に大きな地殻変動が起きている。“おうち時間”の増加もあり、「住む」だけでなくさまざまな付加価値をプラスした部屋が出てきているようだ。中には1部屋を本格的なシアタールームに改造した物件も……。
自室内に働く場を設ける物件も少しずつ増えている。コロナ禍初期には小さな机を置くスペースを増設し、それをもってワークスペースとする物件もあったが、21年ごろから、ある程度独立した本格的なものがある物件が目につくようになった。
例えば代々木上原に誕生した「メトロステージ代々木上原」は、かつて休憩室と宿泊室がワンセットだったという東京メトロの鉄道保守部門で使用していた宿泊所の独特な間取りを生かし、休憩室部分をオフィス、作業スペースなどに使えるSOHO型賃貸住宅として改修している。
上の平面図を見ると、入ってすぐオフィスなどに使える空間があり、その奥に鍵のかかる居室がある住戸(102、103、201、202)や、中には住戸と廊下を挟んで向かい側にある空間がセットになった住戸もある(101)ようだ。
オフィス空間と居室間には段差があり、インテリアも異なるので一つの住戸内でも場所によって気分が変わる。オフィス部分と居室が独立している住戸なら、小規模な会社のオフィス+社長宅という使い方にもよいだろう。また、202は土間に面してキッチンがあり、料理教室として使う手も考えられる。
賃貸の“王道”に反した暗い部屋も
オフィスユースを意識した住戸として、これまでにないタイプも出てきた。杉並区荻窪にある「パンカフォッサ」には集中しやすい、暗くて落ち着く部屋がある。通常、住宅は健康的で明るいことがよしとされる。そのため、賃貸住宅を企画する人たちは必ず日当たりを気にするのだが、世の中には暗い部屋を好む人も少なからずいる。今後はこうした部屋も他にない個性、価値として考えられるようになるのではないかと思う。
自然を取り入れ「創造性」「生産性」を高める物件
新築のオフィスで取り入れられるようになってきた、自然と共存するバイオフィリックデザインを取り入れた賃貸物件も登場している。自然光や観葉植物、その他自然とのつながりを感じる要素を空間内に取り入れることで働く人の創造性、生産性、業務効率を高め、ストレスの緩和、精神的な健康に寄与しようというものだ。
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