2015年7月27日以前の記事
検索
連載

70年の悲願、「新金線旅客化計画」の現在杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)

東京都で新線計画が進んでいる。22年だけでも東京メトロや多摩都市モノレールなどの延伸で、事業許可や計画策定がされた。そして東京都にまだある沿線の悲願の1つが葛飾区の「新金線旅客化計画」だ。新金線は貨物専用線で、沿線住民は貨物走行のない時間帯に旅客列車の運行を望んでいる。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

 「新金線いいね!区民の会」は現在、3カ月に1度のペースで葛飾区と協議を実施している。22年7月3日にはクラウドファンディングで資金を集めて、松戸から銚子まで新金線経由の団体臨時列車を運行した。私も「貨物線に乗りたい」だけでクラウドファンディングに参加して列車に乗った。新金線往復だけで良かったけれど、ツアーは千葉県銚子まで。銚子電鉄もツアー列車の到着に合わせて臨時電車を運行してくれた。

 ツアー列車は引退間近で人気の185系電車だったこともあり、沿線の人々以外に鉄道ファンも多かったけれど、それだけに理解を広めたといえそうだ。


新金線試乗ツアーは185系電車を起用。大人気(筆者撮影)

 今回の情報を得るにあたり「新金線いいね!区民の会」を取材したところ「第三セクター会社の社長が法外な高額報酬を取らなければ黒字です。むしろ第三セクターではなく銚子電鉄の単独運営でも(笑)」という。いや、意外とアリかも。もしかして、それで銚子駅を終点にしたか(笑)。


新金線の車窓。住宅が多く、複線化用地が確保されていた(筆者撮影)

新金線の列車から新宿踏切を見る(筆者撮影)

 東京都は「東京都鉄道新線建設など準備基金」を設置して、「羽田空港アクセス線(田町駅付近〜羽田空港)」「新空港線(東急蒲田〜京急蒲田)」「東京8号線(東京メトロ有楽町線延伸)(豊洲〜住吉)」「東京12号線(都営大江戸線)(光が丘〜大泉学園町)」「多摩都市モノレール(上北台〜箱根ケ崎)」「多摩都市モノレール(多摩センター〜町田)」の6路線を重点的に取り組んできた。

 「東京8号線(有楽町線延伸)」も構想自体は古かった。しかし、11年頃から江東区が積極的に取り組み、事業許可を勝ち取った。目標はこの流れに新金線を乗せていくことだ。次回の国土交通省交通政策審議会答申に盛り込まれることを期待したい。

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る