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今は円安なのに、なぜ「円高時に儲かること」をするのか? トヨタ決算書に見る、為替変動の影響妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/6 ページ)

最近は円安が大きく進んでいて、ドル円は150円を超え、為替介入があったりと非常に大きな話題となっています。今回は為替の変動が、企業の業績にどのような影響を与えていくのかを、グローバル企業であるトヨタ自動車(以下、トヨタ)の決算を具体例にしてみていきましょう。

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 今回は売値が一定のケースを考えましたが、利幅が増えるということはドルでの売価を値下げることで、価格優位性を生かして販売数量を増やすという戦略も可能になります。

 先ほどの例だと日本円での利幅が同じ5000円でよければ、売値を200ドルから150ドルまで下げられるというわけです。

 以上の説明はあくまでもかなり単純化した例であり、実際の事業ではもっとさまざまな要因が絡み合っていますが、輸出企業では円安が売り上げと利益に好影響を与える理由を分かっていただけたことでしょう。

「コストの増加」にも円安が関係

 ただし、円安にはもう1つ、見過ごせない影響があります。

 それは、今回の減益の要因となった資材価格の高騰を含む「コストの増加」にも、円安が絡んでいるということです。

 例えばトヨタの国内のサプライチェーンの中にも、当然海外からの輸入材を利用しているところはあります。その輸入材の価格が高騰すると、トヨタの国内での仕入れ価格にも影響を与えます。

 さらに最近は燃料費も高騰していますが、資源が少なく輸入に頼っている日本においては、円安も燃料費に影響します。となれば、物流費や工場などを稼働させる電力料の上昇にもつながってくるわけです。

 これは一例ですが、今の経済活動はグローバルで絡み合っているため、直接的ではなく間接的な影響も大きいのです。

 間接的な影響の具体的な金額は分かりませんが、円安が悪影響を与える部分があるということも理解しておいたほうがいいポイントです。

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