コラム
定年退職後に嘱託社員として再雇用 賃金50%カットの妥当性は?:裁判例を紹介(2/4 ページ)
少子高齢化に伴い、高齢者活躍の土壌を整える必要性に迫られる日本。定年は60歳が一般的だが、65歳までの雇用維持、70歳までの就業機会の確保が努力義務となっている。定年退職後に嘱託社員として復帰した社員への賃金設定はいくらが妥当なのか? 社会保険労務士が解説。
賃金減額をサポートする仕組み
企業に65歳までの雇用確保を求める「高年齢者雇用確保措置」の背景には、年金の支給年齢の段階的引き上げがありました。実態的に国が年金を払わない期間、企業が年金部分を給与として補てんするような状況でした。
企業にとっては人件費の増加をいかに吸収するかが大きな課題となり、その時に積極的に活用されたのがハローワークに申請する「高年齢雇用継続給付」です。高年齢雇用継続給付には(1)高年齢雇用継続基本給付金と、(2)高年齢再就職給付金の2種類がありますが、企業内での継続雇用制度では(1)を活用します。
これは60歳以後の各月に支払われる賃金が原則として60歳到達時点の賃金月額の75%未満と大きく減額となった労働者を対象として支援するものです。
そして、低下率が大きいほど支給率が上がる仕組みで支給額が計算されます。
具体的なイメージは以下の通りです。
上図の(3)の例のように賃金を30万円から60%の18万円に下げたとしましょう。その場合の支給金額は2万7000円、トータルでは20万7000円。労働者がもらえる金額は、結果的に約70%になります。これに加え、在職老齢年金が支給されるケースもあり、賃金と公的支給の両輪で高齢労働者の収入が守られる形になっています。
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