コラム
定年退職後に嘱託社員として再雇用 賃金50%カットの妥当性は?:裁判例を紹介(4/4 ページ)
少子高齢化に伴い、高齢者活躍の土壌を整える必要性に迫られる日本。定年は60歳が一般的だが、65歳までの雇用維持、70歳までの就業機会の確保が努力義務となっている。定年退職後に嘱託社員として復帰した社員への賃金設定はいくらが妥当なのか? 社会保険労務士が解説。
今後の高齢者雇用の在り方
厚生労働省が発表した「令和2年 高年齢者の雇用状況」によると99.9%の会社で65歳までの雇用確保措置を整備できており、18.4%が定年を65歳まで引き上げています。
さらに老齢年金については、1961年4月2日以降に生まれた男性は65歳まで支給されず、高年齢雇用継続給付の給付率については、現行の15%が2025年4月1日より10%に縮小され、将来的には廃止となる予定です。
これらを踏まえると、そもそも定年が60歳であることが不自然な状況のように思えます。よって、将来的な流れとしては定年年齢が65歳以上、雇用確保義務が70歳以上に引き上げられることになるでしょう。
それを見越すと60歳以降の賃金をどう抑えるかという消極的な発想でなく、60代の労働者について、いかに現役当時と変わらず戦力として活躍してもらうかという積極的な方針に転換する必要があります。法改正が行われる前に助成金を活用して前倒しで定年を引き上げ、優秀な60代を積極的に採用するという選択も業種によっては可能でしょう。
一方で、組織の活性化についても考える必要があり、役職定年を導入するなど若手のチャンスを減らさない工夫も求められます。3年後、5年後の会社から見た理想とする組織図や必要な人員構成を想定しながら、自社に合った高齢者雇用の在り方を検討できるとよいでしょう。
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