値上げラッシュでも「価格維持」のシャトレーゼ クリスマス商戦の秘策は「フォルムチェンジ」にあり(2/3 ページ)
さまざまな領域で値上げラッシュが続く中、5月に「値上げしないことへの挑戦」を発表し、話題となったシャトレーゼ。最大の書き入れ時であるクリスマス商戦も、価格を維持して臨む構えだ。背景には2つの戦略が潜んでいる。
シャトレーゼが価格訴求をできる大きな理由が、「ファームファクトリー」というモデルだ。牛乳や卵、水や苺など、商品において重要な素材を自社で調達し、製造から配送も自社で行う。徹底的に中間コストを省くことで、消費者が求める価格をこれまで提示してきた。
ファームファクトリーと並び、同社の強い価格訴求力を下支えしているのが、本社や工場を問わず、広く社員から意見を募る「改善提案制度」だ。4〜9月の期間で数百件の意見が寄せられ、年間で8億円程度のコスト削減を見込む。
生産ラインの自動化や配送ルートの効率化といったものを中心に、アイスのパッケージ素材を変更したことで100万円程度のコストカットを実現したり、商品のトレーをプラスチックから紙に変更したことで、850万円ほどを削減したりと、大小合わせたさまざまな企業努力を積み重ねる。
高価格のケーキをフォルムチェンジ
今回のクリスマス商戦でも、細かい工夫を重ねる。苺やスポンジケーキなどにこだわった高価格帯商品「Xmasジュエルフレーズ」(20センチ・1万2960円)は、前年までの長方形から、円形へと変更した。商品の企画担当者は「長方形のケーキは、製造過程で出るロスが大きい点が課題だった」と振り返る。
前年までは、元となる大きなケーキを製造し、そこから1個ずつ商品を切り出して成形した。食パンの“耳”とそれ以外の部分を考えると分かりやすい。この“耳”に当たる部分がロスになってしまっていたのだ。製造工場の近隣店舗で、ロスの部分を大福に包んで試験的に販売もしたが、到底さばききれる量ではなかった。そこでケーキの形を見直し、円形にリニューアルしたという。12月23〜25日と3日間限定かつ数量限定で、前年比2倍の1000個を販売予定だ。
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