アース製薬、嫌われもの「G目線」投稿で大反響 ファン急増も納得のSNS戦略とは?:「G劇場」第2幕へ(1/3 ページ)
広告で商品は知ってもらえるが、ファンにまでなってもらうのはハードルが高い。広告とは異なる手法で、商品やサービスの熱いファンをつくる「ファンマーケティング」が注目を集める中、虫ケア用品(殺虫剤)大手、アース製薬の斬新な手法が今夏、大きな話題を呼んだ。
広告で商品は知ってもらえるが、ファンにまでなってもらうのはハードルが高い。広告とは異なる手法で、商品やサービスの熱いファンをつくる「ファンマーケティング」が注目を集める中、虫ケア用品(殺虫剤)大手、アース製薬の斬新な手法が今夏、大きな話題を呼んだ。Instagram公式アカウントを新たに開設し、ゴキブリの目線から捉えた“G劇場”と題する投稿を展開。瞬く間に反響が広がり、開設から半年足らずでフォロワー数は目標を大きく上回る3万5000人を獲得した。担当者に話を聞くと、ユーザーの心をつかむための練りに練られた戦略が見えてきた。
「急に明るくなったと思ったらバケモンに襲われた」
「頑張って避けたけど、謎のスプレー少しかかった。めちゃくちゃ冷たかったやばい」
「身体が。。。もう一歩も動けない。。。」
これは同社Instagram公式アカウントから発信された投稿の一例だ。画像には、床を這うような低い視線から捉えられた家の中の様子が写る。これは、ゴキブリの視点から捉えた“G目線”の投稿。「バケモン」とはGから見た人間。Gを擬人化し、Gに語らせているというわけだ。
不快感を与えないための工夫とは?
ユーザーからは「ごっきー逃げて!」「ついつい応援したくなる」「さようなら。寂しいよ」などと、Gに寄り添うコメントが多数寄せられた。
「虫の姿を画像に映さずに商品を訴求するアイデアはないかと考えました」
こう話すのは、商品全般のプロモーションを担当しているマーケティングコミュニケーション課長の稲積大輔さんだ。
虫ケア用品のほか、入浴剤、オーラルケア、消臭芳香など幅広い商品を手掛ける同社は、主要なコミュニケーションターゲットを20〜40代の女性に設定している。Instagramのメインユーザー層とも合致するため「無視できない発信ツール」(稲積さん)ではあったが、Instagramは画像投稿がメインのSNS。虫の画像を投稿すれば不快感を与えかねない。
「そこで、虫をインスタグラマーと見立ててみました。虫が“自撮り”しない限り、投稿画像に虫は映らない(笑)。虫目線の発信であれば、投稿として成り立つと考えました」と稲積さんは振り返る。
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