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「心理的安全性」が高い大企業で、若手の早期離職が加速する皮肉 足りないのは何?:若手のキャリア形成に課題(4/4 ページ)
昨今の日本の若手のキャリア形成にはある大きな謎がある。若手の労働時間や年次有給休暇の取得率などが明らかに好転している一方で、若手の離職率が下がっていないことだ。「心理的安全性が高く働きやすい」大企業を退職する若手が増えるのはなぜか?
漠然とした不安と戦う若者に、「キャリアの安全」を提供できるか
今回提示したとおり、ゆるい職場の時代には心理的安全性が高いだけでは若手が成長し活躍する職場が形成できない状況にある。そこにはもう一つのピースである「キャリア安全性」が必要であった。
「いまの会社、居心地はとても良いんです」「良い上司や先輩ばかりでありがたい。感謝しかない」「理不尽な指導なんて受けたことも見たこともないですね」――若手社会人がこんな話をしたあとに決まって、「でも……」と現在の職場で働き続けることへの強い不安を口にするのを何度も何度も見てきた。
いまの会社組織は、この若者たちの「漠然とした不安」をどこまで捉えきれているだろうか。自社の職場の心理的安全性を高めるだけでなく、キャリア安全性の高い空間にするための手を打たなければ、現在直面している「なぜ若手が辞めていくのか」という問題に解決策を見出すことは難しい。
背景には、企業が若手に職業人生の見通しを提供できなくなったことがあるだろう。「あがり」の見えないすごろくになった自分の職業人生に、企業に代わって見通しを立てることができるのは自分自身だけだ。自分の職業人生を彩り豊かにつくる、その一つの材料として自社での仕事を考えたときに、心理的安全性が高いだけでは不安になってしまう。その背後に潜む重要なファクターであるキャリア安全性と組み合わせて初めて、若手が本当に活躍する新しい職場に生まれ変わるのだ。
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