成功とはいえない。それでも日系アパレルがベトナム市場で戦い続ける理由:中国からは撤退(4/6 ページ)
人口の約39%をZ世代、ミレニアル世代が占めるベトナム。そんな期待値が高いマーケットに、日系アパレルとして初めて本格進出したのが、ストライプインターナショナルだ。精力的に現地展開する同社に、“市場のリアル”を聞いた。
Z世代向け新ブランド「ハイミー」の狙い
撤退した中国事業とは裏腹に、ベトナムでは事業を加速。22年9月には、ストライプベトナムから新ブランド「ハイミー」が誕生した。トレンドに敏感な20代女性をターゲットにしており、韓流テイストを融合したのが最大の特徴だという。
「ベトナムでは経済成長とともにインフレも起きていて、賃金上昇率が最高で15%増になるケースも出ています。ITなど高給の職種や待遇がいい企業では、新卒の初任給が1300万VND(7万4000円)〜1500万VND(8万5000円)まで上がっていて、3年以内に日本に追いつくのではないかと。そのため、近い将来ファッション関連に多く支出するであろう20〜25歳を取り込みたいと考えました」(張替氏)
デザインのコンセプトを決めるにあたり、流行の発信地である3都市を徹底調査。街中を歩き回って見えてきたのは、厚底やビックシルエットのトップスなど、韓流ファッションを好む若年女性が多いことだった。
「ベトナムでは、K-POPも韓流ドラマも大人気です。その影響で韓流ファッションへの熱も高まっているのかもしれません。ハイミー向けに韓流ファッションに長けたデザイナーを新規採用し、韓流テイストに寄せたベトナムのトレンドを表現しました」(張替氏)
9月10日、ハノイ市内に1号店をオープンすると、多くの女性客が来店。店内のストックが尽き、急きょ工場からハンドキャリーで運んだアイテムもあったほど、にぎわった。初日の売上目標も達成し好調なスタートをきったが、意外な発見もあったという。
「コアターゲットの20代と同じくらい、30代女性の来店も多かったのです。割合は50:50といったところ。デザインでいうと、ショート丈のトップスや上下が分かれたセットアップよりも、以前から親しまれているワンピースのほうが、よく売れています」(張替氏)
新規性のあるデザインはまだ抵抗が強いと感じつつ、韓流人気はますます続くだろうとの見解から、コンセプトはブラさないと張替氏は話した。
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