成功とはいえない。それでも日系アパレルがベトナム市場で戦い続ける理由:中国からは撤退(3/6 ページ)
人口の約39%をZ世代、ミレニアル世代が占めるベトナム。そんな期待値が高いマーケットに、日系アパレルとして初めて本格進出したのが、ストライプインターナショナルだ。精力的に現地展開する同社に、“市場のリアル”を聞いた。
中国事業を完全撤退し、ベトナム展開を加速
ストライプインターナショナルでは、ベトナム進出以前の11年に中国に本格進出している。日本では、ファストファッションでさえ値引きを受け入れるデフレ傾向から脱せず、競争過多に陥っている。
日本における生き残り戦略も重要だが、日本市場だけでは収益を拡大できない。そこで、人口が成長しており、距離的にも近い中国とASEANに目を付けたのだ。
中国では、自社ブランドの「アースミュージック&エコロジー」などを出店し、一時は店舗数が100を超えるまでに。18年にはアリババの日本法人と戦略的パートナーシップを締結。店舗に設置したカメラやセンサーで顧客情報を収集したり、アリババの社内業務効率化アプリ「DingTalk」(ディントーク)やECモール「タオバオ」を活用したりして、同社とニューリテール(オンラインとオフラインを融合させて、新しい消費体験を提供すること)を共同研究してきた。
しかし、結果的に20年6月に中国事業から完全撤退した。中国の現地メディアでは、「新型コロナの影響で店舗が営業停止に追い込まれ、売り上げが激減したことが原因」との報道も見られたが、張替氏は撤退の理由を以下のように説明した。
「中国には欧米ブランドを含め、レディースブランドだけでも700以上が出店しています。そういった市場で戦うのは、容易ではないと判断しました」(張替氏)
中国事業の経験で再認識したのは、「先手必勝の戦略は機能する」ということ。そこで次に狙うべき市場として浮上したのが、日系アパレルが本格進出していないベトナム。外資規制緩和のタイミングを図りながら、1年以上の交渉期間を経て、ネムグループのアパレル事業買収にいたった。
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