成功とはいえない。それでも日系アパレルがベトナム市場で戦い続ける理由:中国からは撤退(2/6 ページ)
人口の約39%をZ世代、ミレニアル世代が占めるベトナム。そんな期待値が高いマーケットに、日系アパレルとして初めて本格進出したのが、ストライプインターナショナルだ。精力的に現地展開する同社に、“市場のリアル”を聞いた。
出店数を2倍にして見えた「難しさ」
ストライプインターナショナルが17年に買収したネムグループのアパレルブランド「ネム」は、30〜40代向けのレディースオフィスカジュアルをコンセプトとする。オフィスにマッチするワンピースやブラウス、スカート、パンツ、バッグなどを扱い、現地のメディアでは「フランスにインスパイアされたトレンディなデザイン」「地元で絶大な人気を誇る」と高く評価されている。
買収当時の44店舗から現在は87店舗となり、5年ほどで2倍に拡大。マーケットシェアを抑えるため、ベトナムの2大都市ハノイ、ホーチミンを中心に、第3の都市ダナン、発展が進む北部の都市ハイフォン、ハイズオンまで出店を広げた。
数字だけを見れば勢いよく成長しているが、ストライプインターナショナル 専務取締役 兼 ストライプベトナムの張替勉社長は、「店舗を2倍にして現地のリアルが見えた」と話す。
「急激な経済成長を見越して一気に出店拡大したのですが、現状は成功とは捉えていません。GDP成長率などの経済白書の数値と現状に乖離(かいり)があったのです。ハノイ、ホーチミンを除く3都市は、外資系企業が増えるなど発展しているもののレディースオフィスカジュアルのマーケットは、まだ追いついていません」(張替氏)
ダナンは近い将来、2大都市に追いつくかもしれないが、ハイフォン、ハイズオンはまだまだ格差が激しく、期待できる市場になるまでに2〜3年はかかるだろうと張替氏は予想している。
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