なぜ、環境にも財布にも優しいのに「服のサブスク」は広がらないのか:磯部孝のアパレル最前線(2/3 ページ)
サブスク全盛の時代、さまざまものが「所有しない」形で提供されている。一方で、なかなかうまくいかない領域もあるようで、「服」のサブスクはその一つだ。環境にも財布にも優しいはずの服のサブスクは、なぜなかなか広がらないのか。
airClosetの基本サービスは「(1)ライトプラン(月額7800円)」「(2)レギュラープラン(月額1万800円)」「(3)ライトプラス(月額1万3800円)」の3コースから選べる。ライトプラン・ライトプラスは、届いたアイテムの交換回数に限りがあり、それぞれ月に1回3/5着が届く。レギュラープランはアイテムの交換回数に制限がなく、月に1回3着が届く仕組み。月額会員数は22年6月末時点で3万2204人であり、利用期間が半年超のロイヤル会員が58%を占めているという。
事業収益の柱は、会員からの月額料金と、気に入ったレンタル商品の購入によって生じる売り上げの2つ。後者の販売率は、期間中の配送着数に対して約6%であり、売り上げは総売上全体の約13%を占めている。
売り上げこそ好調に推移しているように見えるが、18年以降、経常利益がプラスだった年は21年の一度だけで、毎年純損失を計上している。22年の経常利益は6774万円の赤字(営業利益は5177万円の赤字)だった。
airClosetでは、1人当たりの限界利益を年次で出している。売上高から、売上原価および販売費、一般管理費に含まれる変動費を引いた額に年次平均会員数を割り返して算出し、22年の1人当たりの限界利益は6万3154円となっている。また、会員1人を獲得するためにかかったコスト(CAC)の限界利益による回収期間は、2.5カ月と公表している。
月額会員の退会率の詳細は分からないものの、同社によると、登録当初から約3カ月を境に緩やかになっているとのこと。月額会員の平均顧客単価が「8909円/月(22年6月期実績)」ということから想像するに、ユーザーはお試しの感覚で手ごろなプランに申し込み、意に沿わなければ3カ月以内に退会しているのが、現況なのであろう。
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