連載
なぜプリウスは“大変身”したのか トヨタが狙う世界市場での逆転策:高根英幸 「クルマのミライ」(3/6 ページ)
トヨタが新型プリウスを発表した。発売はまだ先なので、車両の詳細なスペックなどは分からないものの、その変貌ぶりが話題になっている。それにしても、なぜトヨタはこのタイミングで発表したのか。背景にあるのは……。
ハイブリッドの生き残りを賭けた戦略
発売前のこの時点でここまで公表したのは、トヨタの自信としたたかな戦略が込められている。欧州メーカーの中にはちょっと慌てているところもあるに違いない。今度のプリウスはスタイリッシュで省燃費であるだけでなく、走りの性能も大幅に高めていることで、既存のユーザーに買い控えを起こさせる、そんなタイミングとしても絶妙なのである。
もちろん北米市場のユーザーに対しては、強力な加速性能は魅力的に映るに違いない。大排気量車の豪快な加速感に慣れている米国のドライバーにとって、EVの強力な加速感は人気であるし、それと遜色ない走りをプリウスが見せれば、かなりの人気を集めることは想像に難くない。
そうやってプリウス人気を盛り上げて既成事実をつくれば、ハイブリッド車に対する今後の販売規制は嫌でも見直しせざるを得ない状況にもっていけるのではないかという、トヨタのハイブリッドの生き残りを賭けた戦略が透けて見えるではないか。
関連記事
- マツダCX-60は3.3Lもあるのに、なぜ驚異の燃費を叩き出すのか
マツダCX-60の販売状況が、なかなか好調のようだ。人気が高いのはディーゼルのマイルドハイブリッドと純ディーゼルで、どちらも3.3Lの直列6気筒エンジンを搭載している。それにしても、3.3Lもあるのに、なぜ燃費がよいのだろうか。 - なぜSUVは売れているのか 「しばらく人気が続く」これだけの理由
街中でSUVをよく見かけるようになった。各社からさまざまなクルマが登場しているが、なぜ人気を集めているのだろうか。EV全盛時代になっても、SUV人気は続くのだろうか。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 「水素エンジン」は本当に実用化するのか トヨタの本気が周りを動かし始めた
水素エンジンが急速に注目を浴びている。燃料電池による水素利用によって、水素エンジンの可能性を引き上げたわけだが、本当に実用化するのだろうか。 - 新型クラウンはなぜ大胆に変わったのか
新型クラウンの期待が高まっている。国産車のネームバリューとしてはトップグループだろうが、セダンは“オワコン”の扱われている。そうした中で、クラウンはなぜ変わったのか。 - なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたこと
時速5キロで走行する乗り物「iino(イイノ)」をご存じだろうか。関西電力100%子会社の「ゲキダンイイノ」が開発したところ、全国各地を「のろのろ」と動いているのだ。2月、神戸市の三宮で実証実験を行ったところ、どんなことが分かってきたのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.