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マツダの中期経営計画を分析する池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)

マツダが発表した中期経営計画では、時間軸ごとにフェーズ分けした計画が記されている。各フェーズを読み解いていくと……。

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フェーズ2のテーマは「電動化へのトランジション」

 さて、次いでフェーズ2のテーマは何かと言えば、マツダは「電動化へのトランジション」と定義している。電動化への転換という意味だろう。ここで言う電動化とは、BEV(バッテリー式EV)にするという意味ではなく、ハイブリッドを含む何らかの走行用モーターを持つクルマを指している。

 現在日本も含め、多くの国々で、純内燃機関の禁止や、場合によっては内燃機関の全面禁止を検討中である。平たく言えば、ハイブリッドを残すか残さないかが分岐点だが、要するに電気方面へのシフトを示唆していることになる。ただし、それに関して確定的なことを明確に定めた例はまだ少ない。日本も25年に純内燃機関モデルの禁止を検討中ということなので、そういう規制が始まった場合への対応を考えて、マツダは「電動化への転換を進めていくよ」という意味である。

 それをどうやって実現するかを明確化したのが、「ビルディングブロック構想」であり、これは以前から大きくは変わっていない。採用された図の中で、スモール群とラージ群と同等の扱いでEV専用群が示されるようになった点が従来との違いである。


「ビルディングブロック構想」(出典:マツダの発表資料)

 過去にも解説したことがあるのだが、このビルディングブロック構想では、エンジンや発電機、モーターやコントロールユニット、バッテリーなどをコンポーネント式に組み合わせ、地域の状況と時代の変化に合わせたさまざまなクルマを生み出せるシステムだといえる。

 例えば、FFモデル用のスモール群では、ロータリーエンジンで駆動される発電機を軸に、走行用モーターを採用するシリーズ型ハイブリッドをベースに、バッテリー容量を増強したPHEV(プラグインハイブリッド車)の展開も可能だ。さらにロータリーエンジンは燃料の雑食性が高いので、バイオ燃料や合成燃料、あるいは必要なら水素を燃料に使うこともできる。

 インフラの状況や電池原材料の先行きが分からない中で、最少のメカニカルシステムで、多様な未来に対応できる形に仕上げられている。どんな未来にも、どんな地域ニーズにも応えられるシステムをマツダの規模で実現してみせたことはとても意義深い。

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