リモートか、出社か――人も組織も“持続可能”なこれからの働き方とは?:リモートワーク総論(4/4 ページ)
総務省によると、日本の全企業の51.9%が何らかの形でリモートワークを導入しています。長らくみんなで同じ場所で働いてきた私たちに、リモートワークはどうやって浸透していったのでしょうか。どのような環境に変わっていったのでしょうか。
「ハイブリッドワーク」は人材確保につながる?
また、会社として「フルリモートではなく、場合によって出社もある」という路線を打ち出すことで、働く環境を柔軟に選択できるという好条件にもなります。現在多くの会社で苦慮している優秀な人材の定着確保につながるでしょう。
実際、従業員側としてはリモートワークのメリットを知ってしまっています。通勤時間のカットや育児介護との両立など、すでに切り離せないベネフィットになっているでしょう。従業員の個人的なワークライフバランスも考慮し、孤立感のない安心できる環境は優秀な人材の誘致につながるとともにさらなる能力発揮の場になり得るのです。
ただし、ここで注意が必要なのは、勤怠管理が今以上に複雑になってくるという点です。リモートと出社をうまく組み合わせるということは、どこで働いているか一瞬では分からないということです。業種によってはシェアオフィスやコワーキングスペースなど勤務場所も多様化しています。従業員の居場所から始まり、勤務状況の把握、セキュリティ面も含め今以上に注力していく必要が出てくるでしょう。
私たちの働き方は変化し続けていきます。変化を嫌い、1つのやり方にこだわっていると新しいことが見えなくなり、不寛容な社会になってしまうでしょう。
出社がデフォルトの時代を経てリモートワークも1周した今、それぞれで感じたメリットデメリットがあります。出社で感じる対面コミュニケーションの醍醐味とリモートワークでの超効率化された成果主義を合わせたハイブリットワークが、人も組織も持続可能なこれからの働き方として定着するのではないでしょうか。
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