プレイングマネジャーが部下から評価されにくい意外な理由 “背中で見せる”リーダーに足りないことは?:4タイプ別で解説(4/4 ページ)
2019年に実施された調査によると、約9割がプレイングマネジャーとして働いていることが分かった。しかし、リンクアンドモチベーションによると、プレイングマネジャーに対する部下の評価が意外と高くないという。“背中で見せる”リーダーに足りないことは何か、その理由やマネジャーに求められることを解説する。
管理職登用は「人への投資」
本来、プレイヤーからマネジャーに昇格する際に、スムーズに移行するための支援が必要となる。多くの場合、マネジャーに昇格する人は最も優秀なプレイヤーだが、それゆえに組織成果を求められた際に過去の延長でプレイング業務をせっせとやってしまい、プレイングマネジャーが生まれてしまう。
人事領域ではプレイヤーをマネジャーに昇格させる際に「役割に入学させる」と表現することがある。例えば、昇格前の段階で小規模チームのリーダーを任せて経験を積ませるなどして、少しずつ移行させていくのだ。マネジャーとしてできない自分を認識させ、ある程度できるようになった状態で昇格させるキャリアデザインが重要であり、人事や上司はそのような仕組みを作っていく必要がある。
当社では、管理職の一歩手前の階層になったら、基本的に「役割に入学させる」ことに全ての時間を使うようにしている。この期間は成果を出せない状態になるが、それでも大丈夫なように体制を整えている。ある程度チームを任せて、組織の成果に責任を持たせて業務に取り組ませると、最初はうまくいかずボロボロに失敗するが、失敗経験を重ね、徐々にできるようになってきたタイミングで管理職に昇格させる。
マネジャーに昇格させるということは、もっとも優秀なプレイヤーが一人減ることに他ならない。この覚悟が決まっていないケースが多いのではないだろうか。短期的にマイナスになったとしても、後にもっと大きな組織成果を生み出せるマネジャーとして帰ってきてもらうという「投資」の意識を持つことが重要なのだ。しかし、実際には、短期的な成果を求めるあまり、「プレイヤーとしても頑張ってくれ」と肩を叩いてしまう上司も少なくないように感じている。
マネジャーはメンバーを信じよ
マネジャーの上司はマネジャーに昇格する人に対して、「別の競技だから、いきなり活躍できないのは当たり前だ」という認識を持たせることが重要で、新入社員に戻るくらいのマインドセットで臨んだほうが良いだろう。プレイングができるからマネジャーになるケースがほとんどだが、だからと言って、いきなりマネジメントができるわけではない。できなくても抱え込まず、自分から上司の支援を求めにいくことが重要なのだ。
最後に、マネジャーにはメンバーを信じる気持ちが欠かせない。よく、「私以外できないから自分でやる」と口にするマネジャーがいる。部下にやってほしいのにやってくれない悲しさや、自分だけが頑張っているような孤立感から、このような発言をしてしまうことがあるかもしれないが、部下に期待することを諦めてはいけない。マネジャーは、メンバーができるようになる方法を考え続けなければいけないし、できるはずだと信じ続けることが重要なのだ。このような気持ちを持たないマネジャーは、永遠にプレイングマネジャーに甘んじてしまうだろう。
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