60歳からのライフシフトは現実的か:定年後の世界(3/4 ページ)
2020年3月、改正高年齢者雇用安定法が成立し、多くの企業が定年の年齢を60歳から65歳に引き上げた(ように見える)が、実態としては、前からある定年後の再雇用的な働き方が多いようだ。 一方「ライフシフト」というワードが話題になっていて……。
40年間の仕事の経験を生かすのか、新たな知識を得るのか?
60歳すぎても一番いいのは同じ企業での、同じ雇用条件での継続的な就業だ。給与もほとんど変わらなければ、慣れている仕事であり、最高の働き方と言える。なかには「経験が誰よりも豊富で知識・スキルも高い。その能力を生かし、若手の育成も含め、さらに大きな仕事に取り組んでほしい」と懇願される人もおり、むしろ、より大きな責任と報酬を得る人もいる。
しかし、多くの人が、「昔の仕事の仕方しか分からず、完全に今の仕事についていけない。自ら提案し、仕事を動かす能力もない。あるいは学ぶ意識もない」的な評価を受けているのではないかと想像する。特にIT・デジタル関係においてついていけないと自覚している人もいるだろう。実際、多くのひとが60歳の時点で次のステップへと進むわけだが、現時点では半数以上が嘱託や契約社員となり、給与は大幅に減る。
この両者の差は、どこにあるのだろう。
いずれにしても、60歳の時点でなんらかの判断をするとなった場合、主に次の4つのケーズが考えられる。
(1)同じ会社に、再雇用として残る
(2)同じ会社に残り、現在と同等、もしくはそれ以上の仕事の内容と報酬の仕事を続ける
(3)これまでの仕事に関連した新しい会社に移る、または新しい仕事に就く
(4)これまでとは異なる新しい業種、分野の仕事に就く
(3)の一部や(4)が、ライフシフトとも言える変化なのだろうが、実は、仕方なく移った人ややむを得ず転職した人も多いはず。
一見、「シフト」していないように見える(2)だが、実は(2)が実現する人というのは、日ごろから日々の変化や進歩について行っている人であり、日々「シフト」を繰り返している人しか、よりクオリティの高いアウトプットを出すことなどできないからだ。
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