理系学生に告ぐ、日本の自動車産業は「オワコン」ではない:池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/5 ページ)
ここ数年「日本オワコン論」が語られ、次なる衰退は自動車産業で「数年後には日本が誇るトヨタは滅びる」との主張もある。しかし、それは大前提が間違っている。
日本の自動車産業は何をどう取り組んでいるのか
こういう話はとても複雑なので、とても分かりにくい。筆者は日本の理系学生が、世の中に出回る「日本オワコン論」に影響を受けて、これから世界で戦っていく日本の自動車メーカーを誤解してしまうことがとてももったいないと思った。そこで日本の自動車産業で最も規模の大きいトヨタを例に、わが国の自動車産業が何にどう取り組んでいるかを1冊にまとめたムックを監修した。12月13日に発売される『TOYOTA大解剖2023』である。価格1100円で版元は三栄。
この本は21年の年末から準備を進めて制作してきた。トヨタの取り組みや、サプライヤー各社の技術開発まで細かく取材しており、手前味噌ながらトヨタ大解剖の名に恥じないできになっていると思う。そのあたりは目次ページの画像を見ていただけると、雰囲気がつかめるだろうと思う。正直なところ、大変だった(笑)。
本来なら年末には、ITmedia ビジネスオンラインで「今年乗って良かったクルマ」の記事を書くのだが、11月は筆者自身の検査入院とか、ラリージャパンやS耐(スーパー耐久)の取材に、このムックの追い込みが重なって、ホントにギリギリのスケジュールだった。
で、済めばいいのだけれど、12月は長期の海外出張が入っている。というわけで恒例の長距離テストがどうやってもできない。誠に申し訳ないが、「昨年乗った良いクルマ」ということで新年に掲載させていただきたい。
ということで今回は、自分の本の宣伝でちゃっかりと締めさせていただく。たぶん買って損はないと思うのでよろしくお願いいたします。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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