「オンラインだけではAmazonに勝てない」 セブンがアプリで広告を配信する狙い:リアル店舗の強みを生かす(3/4 ページ)
セブン‐イレブン・ジャパンはリテールメディアに本格参入した。「小売りを手掛けるセブン&アイが広告を売る」、その仕組みはどうなっているのか。Amazonに勝つための、小売りならではの強みとは?
セブンのリテールメディア 強みは3つ
セブンアプリの広告事業の強みは大きく分けて3つある。1つは「顧客接点が多い」ということ。2つ目は「認知から購買、再購入まで一気通貫で担える」こと、3つ目は「小売りだからこそ、購買につながりやすい」ということ。
「Web広告を見て、ネット上でジュースを1本を試しに買ってみよう、というのはなかなかないですよね。小売りだからこそ『試してみよう』という行動をとってもらいやすいことも特徴です」(杉浦さん)
離脱への不安 “ウザい”広告にしないために
現状同社が最も危惧しているのが「広告への嫌悪感による離脱」だ。
「今まで商品情報の発信やクーポンの配布などを行ってきたセブンアプリで広告を配信することで、『広告は嫌だ』と思われて、離脱につながることが本当に怖いですね。それでは、販促活動も、お客さまとコミュニケーションを取ることもできなくなってしまいます」(杉浦さん)
「ウザい広告ではなく、『いいよね』と思ってもらえる広告や購買体験を提供できるかどうか。そのあんばいを見極めていくことが今後の1番の課題です。広告って、ドンピシャで当たりすぎても“気持ち悪い”と思われてしまうんです。なぜここまで自分の行動を追っかけた広告を打ってくるの? という拒否感もあります。データを思う存分使うことが本当に正しいのか、顧客の状況に寄り添って考える必要があります。
小売りは比較的、広告に対する不信感が生まれにくいと考えています。例えば、毎日水を買っている人に対して水の広告を配信して、本当に嫌がられるでしょうか? 日常的な購買だからこそ、嫌がられにくいという特性もあります。
しかし、それに胡坐をかいていたら嫌がられると思うので、情報量、伝え方、タイミング、ターゲティングの質などを模索し続けたいです。時代背景も含めて正解は変化していくものなので、一生かけて向き合いたいですね」
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