ウクライナ避難民の65%「日本に滞在したい」 就労面に課題 日本財団調査
ウクライナ避難民の65.5%が、日本に長期滞在を希望していることが日本財団の調査で分かった。一方で避難民の60.9%が「働いていない」と回答しており、避難民に対する就労機会の確保が課題となっている。
ロシアの侵攻で日本に避難してきたウクライナ人(ウクライナ避難民)の65.5%が、日本に長期滞在を希望していることが日本財団の調査で分かった。一方で避難民の60.9%が「働いていない」と回答しており、避難民に対する就労機会の確保が課題となっている。
同財団は11月28日から12月12日にかけて、18歳以上のウクライナ避難民750人を対象に調査した。帰国意思の項目では、40.8%が「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」、24.7%が「できるだけ長く日本に滞在したい」とそれぞれ回答。日本国内での長期滞在希望者が65.5%に上った。
政府は避難民を各自治体に振り分けて受け入れるとともに、給付金や生活物資などを支給し、支援している。同財団も渡航費の補助(1人30万円上限)や生活費1人100万円の支給などを行っている。これら以外の支援では「公的住宅の提供」(68.7%)、「日本語教育」(51.7%)、「ウクライナ人同士の仲間づくり」(40.1%)が上位だった。
日本語習得は53%
日本で生活するためには、日本語の習得が欠かせない。語学力に関する調査項目では「少し話ができ、簡単な日本語のみ聞き取れる」(35.7%)、「話ができ、日常生活の日本語は聞き取れる」(11.2%)、「とても話ができ、難しい内容も聞き取れる」(6.1%)となり、レベル差があるものの、計53%が日本語を習得していることが分かった。
7月に実施した第1回アンケートと比較すると「ほとんど話ができず、日本語が聞き取れない」と答えた割合が68%から46.9%に減少しており、取り組みが進んでいることがうかがえる。
フルタイム就業者は20.5%
だが、課題も浮き彫りになっている。特に深刻なのは、就業機会の提供だ。調査では回答者の60.9%が「働いていない」と回答。「働いている」と回答した39.1%の内訳をみても、「パートタイム」が79.5%となっており、フルタイムでの就業者は20.5%にとどまった。
避難民の雇用を巡っては、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)など一部の企業が行っているものの、取り組みは少数にとどまる。避難民が答えた必要な支援項目2位に「仕事の紹介、職業訓練」(39.2%、1位は「遊び、観光」の55.9%)がランクインしており、就業希望者の雇用調整が長期的な課題となる。
日本語教育などを充実させ、日本の文化を深く理解してもらうとともに、支援に依存しない形でウクライナ避難民が日本で生活できるよう、企業が十分な雇用機会を提供することが今後の共生に必要となりそうだ。
調査結果の詳細は、日本財団の公式Webサイトで公開している。
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