サントリー・日本生命に続く企業は……? 賃上げムードが高まらない根本的な理由:働き方の見取り図(2/4 ページ)
サントリーが6%の賃上げを目指しているとのニュースに続き、日本生命も営業職員について7%の賃上げ方針を発表した。両社に追随する会社が現れて、賃上げ機運が高まっていくことになるのか――。
また、物価高を加味した実質賃金は減少しているものの、物価高を加味しない22年10月の現金給与総額は前年同月比で1.4%上昇しています。現金給与総額の上昇は10カ月連続です。
さらに、防衛費増税は法人税も対象にすると言われており、他にも雇用保険料の増額や、24年10月からは社会保険適用拡大の対象企業が従業員数51人以上に広がるなど負担が増えることになるのも社員側と同様です。
そこに、日本では解雇要件が曖昧(あいまい)で能力不足を理由に解雇することが困難で、一度採用すると必要なスキルを持たない人材であっても抱え続けなければならないことがあります。今後の景気動向の変化、地政学的リスクなど読み切れない不安要素がいくつも重なると、簡単に賃上げに踏み切ることなどできません。
このような状況下でむやみに社員側が会社側への賃上げ要求を強めたところで、共倒れしてしまう危険性もあります。働く場所自体がなくなってしまっては、元も子もありません。
社員が三重苦から逃れるためには
サントリーのような会社が出てきましたが、厳しい経営環境を考えると、日本生命のように追随する会社が今後次々に現れると楽観視するのは厳しいものがあります。いま、賃上げが期待できそうな会社に勤めている社員であれば座して待てばよいはずです。しかし、そうでない会社に勤める社員は、個々に三重苦から逃れる方法を考えて対処する必要が出てきます。
社員が個々に取り組むことができることは大きく2つです。1つは、自身が会社の業績向上のために何ができるのかを考えて取り組むことです。「これだけ頑張っているのに賃金が上がらない」「競合他社はもっといい商品を扱っている」「会社の事業戦略は間違っている」――。そんな思いを並べて会社が“与えてくれる”のを待ち続けても、会社としてはない袖は振れません。
会社に対して自分は何ができるかという観点からこれらの思いを変換すると、「これだけの成果を出すから賃金を上げてほしい」「競合他社よりいい商品にするためにアイデアを出そう」「事業戦略の修正案を会社にプレゼンしよう」という言葉になります。会社から何を与えてもらうかという観点とは、行動が180度変わってくるはずです。
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