51歳の苦悩──ずるずると会社に残る私は、ダメな人間なのでしょうか?:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)
今の会社でのキャリアに不安を抱えながらも、転職する勇気も出ない。ずるずると会社に残る自分は、ダメな人間なのか?──そんな悩みを抱える40〜50代のビジネスパーソンは少なくない。こうした悩みや不安とどのように向き合うべきなのか。
50代でも、5人に1人が「昇進したい!」
確かに「希望退職を募ると辞めてほしくない人から手を挙げる。この事態をどう防げばいいのでしょうか?」という相談は、「またか……」とあきれるほど聞かされてきました。
第三者から見れば、自分たちが切りたくて希望退職を拡大させているのに、何をおっしゃっているんだか。都合がよすぎます。
そもそも「辞めてほしくない人から手を挙げる」からといって、「定年までいる人がダメな人」というわけじゃない。ましてや、「定年までいる人=働かないおじさん」でも、「定年までいる=会社にしがみついている」わけでもない。それらは全て、ただのイメージです。
これだけ転職のハードルが下がったご時世でも、40〜44歳の転職率は男性が3.6%で女性が7.7%。17人に1人程度です(厚生労働省「令和2年上半期 雇用動向調査」)。多くの会社員は「会社に残る=長期雇用」という選択をしています。
また、労働政策研究・研修機構の調査によれば、
- 製造業を中心とする「長期雇用セクター」と、サービス業を中心とする「雇用流動化(転職)セクター」に分断されている
- 既婚者は「長期雇用傾向」が強く、未婚者では「雇用流動化傾向」が強い
といった具合に、業種や家族生活の違いによっても違いがあります。
おそらくこの調査結果から多くの人たちは、「だからさ〜、何がなんでも会社にしがみつく老害会社員に、会社は頭を悩ませてるわけじゃん」と思うことでしょう。
しかし、それもただのイメージにすぎないことを、この調査は明らかにしました。
経済的な余裕があっても仕事をする人( 「経済的な心配がなければ仕事はしない」の問いに当てはまらないとした人)が、男性では50代前半で一旦低下するものの、60代前半で上昇し、5割を超えていたのです。女性では年齢と共に上昇し、60代前半では6割超にまで増えます。
さらに、男性では「定年まで働く意欲のある人」の方が、昇進意欲が高いことも分かりました。50代後半でも男性全体で22%と、5人に1人が「昇進意欲がある」とし、女性の場合は、60代前半でも6.9%「ある」と回答したのです。
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