「箱根駅伝」唯一の協賛メーカー「ミズノ」が、なかなか“独走”できないワケ:箱根駅伝の裏側でメーカーの競争(前編)(2/3 ページ)
多くの視聴者を魅了する「箱根駅伝」唯一の協賛メーカーがミズノだ。「箱根駅伝」の名称を使ったPRが可能になるため、本来なら”最も稼げる”位置にいる企業となる。しかし、どうやらミズノは苦戦しているようだ。なぜかというと……
ユニフォーム対決は「ナイキ」「アディダス」の二強
メーカー | 大学 |
---|---|
ミズノ | 東京国際大、創価大、法大、日体大、国士館大(5校) |
アシックス | 帝京大、早大、山梨学大、専大(4校) |
ナイキ | 駒大、東洋大、中大、明大、東海大(4校) |
アディダス | 青学大、國學院大、大東大(3校) |
ニューバランス | 順大、城西大(2校) |
プーマ | 立大(1校) |
箱根駅伝に出場する大学の多くは、各メーカーから「ウエアサプライヤー」を受けている。各校とメーカーの契約内容はシークレットだが、メーカーは単にウエアを提供しているだけでなく、金銭面を含めて強化サポートをしているケースもある。外資系企業の方が予算は豊富な印象だが、PR効果がないとスパッと切る傾向もあるように感じている。
大学側には、将来的に活躍が見込まれるチームに好条件のオファーが舞い込むことになる。例えば、國學院大は昨季までの3年間は同大OBが社長を務めるスボルメからユニフォーム提供を受けてきたが、今季からアディダスになった。アディダスがスボルメの契約内容を上回ったと考えるのが自然だろう。
ユニフォームのデザインが変わっただけではなく、國學院大の選手は“新たな世界”を経験している。アディダスは4月30日にドイツ本社があるヘルツォーゲンアウラハで「ADIZERO: ROAD TO RECORDS 2022」を開催。同社契約アスリートが9つのナショナルレコードを樹立した超ハイレベルのレースに平林清澄選手と山本歩夢選手の2年生コンビが挑戦したのだ。まったく勝負にはならなかったが、他の学生ランナーでは絶対にできないような体験をしたことになる。
そしてアディダスの予感は的中する。國學院大は10月の「第34回 出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)」で2位に入ると、「第54回 全日本大学駅伝対校選手権大会」は過去最高順位(4位)を上回り、準優勝に輝いた。今回の箱根駅伝でも過去最高順位(3位)の更新が期待されているだけでなく、3年生以下にも好選手がそろっている。今後のPRチャンスは大きいといえるだろう。
近年の箱根駅伝を振り返ると“二強”が激しい戦いを繰り広げてきた。ナイキ勢が08年から5連覇(駒大、東洋大、東洋大、早大、東洋大)を飾ると、13年はアシックス(日体大)が優勝。すぐにナイキ(東洋大)が王座を奪い返すも、15年からはアディダス(青学大)が4連覇を果たす。その後は、ナイキ(東海大)、アディダス(青学大)、ナイキ(駒大)、アディダス(青学大)と二強が交互に勝っている状況だ。
23年大会は今季の出雲と全日本を完勝した駒大と、連覇を狙う青学大の“二強対決”が濃厚。またしてもナイキVSアディダスの戦いになりそうだ。
関連記事
- レジ袋有料化の“二の舞”か プラ削減のために導入した「紙ストロー」が別の環境問題を引き起こすジレンマ
2022年は「プラスチック削減元年」と言っても過言ではないほどに紙ストローが普及した。環境に配慮した取り組みのようだが、レジ袋有料化同様に紙のほうが本当に環境負荷が小さいのか? という疑問が消費者の中で渦巻いているように感じる。紙ストロー移行は本当に意味があるのかというと…… - 北海道の“保育園”に首都圏から家族連れが殺到 人口3500人の過疎町に何が?
北海道厚沢部町という人口たった3500人の過疎町に首都圏から訪れる子連れ家族が後を絶たない。新千歳空港から車で3時間と決して利便性が高い町とは言えないにもかかわらず、なぜこんなに人が集まるのか? - 最も好きなカフェ 「コメダ珈琲店」「マクドナルド」を抑えて1位になったのは?
カフェチェーンブランド調査が行われた。最も好きなカフェは3位は「コメダ珈琲店」、2位は「マクドナルド」だった。知名度も店舗数も多い両店を抑えて1位になったのは? - レトルト食品界の王様「ボンカレー」 技術革新を重ねても唯一、”変えなかったこと”は?
われわれの生活に欠かせない「レトルト食品」。1968年、大塚食品が世界で初めて市販用レトルト食品「ボンカレー」を開発したことからその歴史は始まった。レトルト食品が”当たり前”になるまで、どのような技術革新があったのか? また、数多のアップデートを重ねても唯一、変わらなかったこととは? - TSUTAYAやAmazonで買えば? 「有隣堂」のYouTubeが、多くの人を”沼らせる”ワケ
創業100年の老舗書店「有隣堂」のYouTubeが話題だ。MCのミミズクが有隣堂社員と繰り広げる本音トークに中毒者が続出。実際、10カ月で登録者数が36倍になる躍進ぶりだ。視聴者を沼らせるYouTube「有隣堂しか知らない世界」に迫ってみた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.