DAZN、価格爆上げの衝撃──ライブスポーツ独占チャンネルがもたらす光と影:本田雅一の時事想々(4/5 ページ)
DAZNの月額料金が昨年1月に比べて2倍近くまで値上げした。ライブスポーツを独占するDAZNのこの取り組みは、スポーツビジネスにどのような意味を生むだろうか。その光と影を解説する。
ファンからは手出しできない、長期の独占配信契約
サッカーファン、とりわけJリーグのファンからすれば、29年まで事実上、他に選択肢はない。DAZNが経営危機に陥ってJリーグに放映権料を支払えなくなったり、配信権の一部を他社に販売するなどしない限りは、他の方法では視聴できないことになる。
問題なのはこうしたDAZNの手のひら返しに対抗する手段がないことだ。
前述したF1中継にしても、23年はレギュラードライバー3年目となる角田裕毅選手の活躍を観たいファンも少なくはないだろう。しかしF1人気は世界中で爆発しており、長らくF1中継を行ってきたフジテレビが新契約に切り替わる23年放映権を獲得できるだけの予算を付けられるかは疑問だ。
値上げされたDAZNにしても、F1中継については明確な計画は発表されていない。配信権を獲得できるなら、多少高価でもF1の映像を観るだけでも困難だった1970年代に比べればはるかにマシだが、どうなることやら。
サッカーにしても、人気クラブだけではなく、あらゆるフランチャイズの配信が行われるのだから、真にJリーグファンにとってはかけがえのないものと言えるだろう。
実際のところ、3780円を払いたくない、払えないというファンよりも、短期間にここまでの値上げが一方的にされた上、その理由がイマイチ見えにくいところに不満を持っている契約者が多いのではないだろうか。
コアなスポーツファンを集め、安定して月額料金を支払ってくれる会員多数集めた大きな組織を作り、その安定した収入をもとにスポーツファンが理想とする、スポーツのライブ中継サービスを提供するのが、DAZNの基本的な理念でありビジネスモデルだろう。
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