「風呂なし物件」不動産、なぜ立ち上げた? 女性運営者の真意とは:減り続ける銭湯(2/5 ページ)
「風呂なし物件」のみを紹介する不動産情報サイト「東京銭湯ふ動産」が話題。立ち上げの背景には、銭湯を取り巻く厳しい状況が――。
相次ぐ銭湯の廃業…… 解決の一手に「風呂なし物件」
鹿島さんが「風呂なし物件」の紹介を始めた背景には、全国で銭湯が相次いで廃業している実態がある。東京商工リサーチの調査によると、ピークの1968年に1万7999軒を記録して以降廃業が続き、2022年には1865軒にまで減少した。ピーク時から約1万6000軒減少(89.6%減)したことになる。
銭湯がなくなる1番の原因は“家にお風呂があるから”。最近は経営者の高齢化や設備費用、光熱費の高騰で採算が取れなくなり、店を閉めるケースも多い。銭湯は一般公衆浴場で民営化されていないため、入浴料金は浴場組合によって都道府県ごとに一律に決められている。23年現在の東京都の入湯料金は、一律で大人500円となる。収入を増やすための取り組みとして、飲み物やグッズの販売を行う銭湯もあるという。
鹿島さんは「東京銭湯 -TOKYO SENTO-」のライターとして活躍。多くの銭湯の取材をする中で、たくさんの銭湯が廃業していく様子を目にしたという。
「魅力を発信するだけではなく、銭湯を1つでも残せる方法として自分にできることはないかなと考えたときに、不動産仲介の仕事をしていた経験を生かして東京銭湯ふ動産を立ち上げました。
風呂なし物件に住めば、銭湯に行くしかなくなります。調べてみると、風呂なし物件は新宿区や渋谷区などのアクセスに便利なエリアにまだ残っており、家賃は相場よりも格安でした。“風呂はないけど、銭湯はあるよ”という見せ方をすれば、興味を持つ人も多いのではないかと考えました」(鹿島さん)
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