「風呂なし物件」不動産、なぜ立ち上げた? 女性運営者の真意とは:減り続ける銭湯(3/5 ページ)
「風呂なし物件」のみを紹介する不動産情報サイト「東京銭湯ふ動産」が話題。立ち上げの背景には、銭湯を取り巻く厳しい状況が――。
風呂なしのメリット・デメリット
東京銭湯ふ動産では、最低でも徒歩15分圏内に1〜2軒銭湯がある物件を扱う。風呂なし物件は大きく分けて(1)トイレ・玄関共用で4畳半の「寮」のような物件(2)トイレ付きで6畳+キッチン2畳程度の1Kの物件――の2パターンあるらしい。都内では早稲田などの大学があるエリアや渋谷区、目黒区、京王線沿いに風呂なし物件が多いという。
風呂なし物件のメリットは「家賃が安いこと」。首都圏の場合は、相場の半額程度で住むことができる。
「例えば、渋谷に住みたいけれど7万〜8万円は出せない場合、風呂なしであれば3万円程度で住むことができます。1カ月の銭湯代金1万5000円(500円×30日)は追加でかかりますが、それでも合計4万5000円とかなり破格です」(鹿島さん)
風呂なし物件のデメリットは「風呂に入りたいときに、すぐ入れないこと」だという。銭湯は利用できる時間が限られているため、飲み会や残業があるとお風呂に入れないということも。居住者は24時間営業のフィットネスに加入している人が多く、会社の近くのジムでシャワーだけ浴びて帰宅する人も多いそうだ。7000円程度で入会できるフィットネスも多いため、銭湯とフィットネスをうまく使い分ける人もいる。
風呂なしと聞くと、「すごく古そう」という印象もある。築年数もデメリットになるのではないか。
「風呂なし物件はやはり古く、1965〜1980年に立てられた物件が多いですね。居住者の方は、この『古さ』を好む方が多い傾向があります。最近の真っ白で、つるんとした味気ない印象の物件ではなく、木造で、畳やふすまがある『レトロ』な雰囲気を好む方も多くいらっしゃいます」(鹿島さん)
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