「100円ショップ」、物価高でどうなる? 王者・ダイソーが描く「脱・100均」の行方:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
40年ぶりのインフレ水準となり、値上げラッシュが続く。庶民の味方として長らく人気を博してきた100円ショップも、岐路に立たされている。王者・ダイソーは「脱・100均」として、新たな戦い方を始めているようだ。
「40年ぶり」のインフレが日本に押し寄せている。
総務省統計局が公表した2022年12月のコア消費者物価指数は、東京都区部で前年同月比+4.0%を記録した。この水準は、1981年における第2次オイルショック以来の水準で、デフレ脱却を掲げたアベノミクスや日銀の異次元緩和の理念は思わぬ方向性で実現したことになる。
通常、インフレといえば、コストが高くなることで価格を引き上げる「コストプッシュ型」と消費者の需要の高まりで価格が上がる「デマンド(需要)プル型」の2種類がある。一般的には需要によるインフレは健全であるといえる。しかし、今回は押し並べて「円安」や「原油高」といったコスト面で需要がなくても価格を上げざるを得ない状況に置かれており、消費者の懐は余裕に満ちているわけではない。
このような状況はグーグルの検索ボリュームにもしっかり反映されている。“100円ショップ”の大手である「DAISO(ダイソー)」とコンビニ大手の「セブン‐イレブン」の検索ワードを比較すると、見えてくるものがある。
これによると、ダイソーの検索ボリュームは、なんとコロナ禍が深刻化した20年ごろから、セブン‐イレブンを逆転し、上回っているのである。人気漫画とのメディアミックスや飲食店とのコラボなど、たびたび話題になるコンビニ大手チェーンが、ほとんどCMをかけることもない100円ショップのダイソーに検索量の点で負けてしまうのは、何とも意外ではないだろうか。
コンビニ業界では「付加価値」ベースで、スーパーなどと比較して高めの価格が設定されていることが少なくない。しかし、この結果を見るに、付加価値よりも「安さ」に魅力を感じる消費者が増加していることが推察される。消費者にとって100円ショップは、インフレ状況を凌ぐための“最後の砦”と認識されているのかもしれない。
しかし、100円ショップというビジネスモデルも、曲がり角に立たされている。
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