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「運輸連合」「交通税」とは何か 日本で定着させるために必要なこと杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/10 ページ)

国土交通省の「交通政策審議会 交通体系分科会 地域公共交通部会」は1月17日、「中間とりまとめ(素案)」を公開した。「関係者で合意した再構築方針に基づき、鉄道の維持と利便性確保」とあり、地方ローカル鉄道の維持に消極的な国も、地方ローカル鉄道を完全否定しているわけではないとわかる。

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兵庫県の協議会が始まる

 国土交通省の「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」は、22年2月14日に第1回が開催された。同年7月25日の第5回で提言がまとめられた。

 兵庫県は提言発表の1カ月前の6月24日に「JRローカル線維持・利用促進検討協議会」を立ち上げた。国交省の検討会を睨みつつ先手を打つ形だ。

 兵庫県といえば神戸や姫路、尼崎など京阪神地域の一角で、都市鉄道を思い付く。しかし兵庫県は瀬戸内側だけではなく、日本海側と中国山地に赤字ローカル線がある。JR西日本の開示情報によると、1日1キロメートル当たり平均通過人員(21年度)は以下の通り。

  • 山陰線:城崎温泉〜浜坂:606人/日
  • 山陰線:浜坂〜(鳥取県境)〜鳥取:738人/日
  • 播但線:和田山〜寺前:924人/日
  • 姫新線:播磨新宮〜上月:774人/日
  • 姫新線:上月〜(岡山県境)〜津山:358人/日
  • 加古川線:西脇市〜谷川:207人/日

 JR西日本は22年4月11日に「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」という文書を公開し「平均通過人員2000人/日の路線について協議したい」という意向を示した。上記の路線はどれも該当する。しかも、国の提言「1000人/日以下の路線は国も積極的に関わっていく」にも該当する。

 ちなみに、神戸電鉄粟生線(鈴蘭台〜粟生)も1996年をピークに利用客が減少し、04年度から09年度まで兵庫県と沿線3市による赤字補てんが行われた。09年度からは粟生線活性化協議会が発足、公的支援が行われている。

 兵庫県の「JRローカル線維持・利用促進検討協議会」は分科会として、「山陰線WT(ワーキングチーム、以下同)」「播但線WT」「姫新線WT」「加古川線WT」を実施し、現状把握、課題の抽出、地域の意見集約などを実施している。23年1月中に検討結果をとりまとめ、令和5年度予算に組み込む予定だ。


兵庫県は瀬戸内以外の地域で公共交通の危機感がある(出典:兵庫県、JRローカル線維持・利用促進検討協議会

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