「勘」から「数字」で語る社風へ ワークマンが“ダサい”作業服をクールに一変できた3つの理由:全員参加のエクセル研修(2/4 ページ)
「売上高は10年間で2.6倍成長」と、ワークマンの躍進が止まらない。背景には、「勘・経験中心」から「データ活用」重視の経営にシフトチェンジしたことがある。どうやって社内に浸透させたのか。
「勘中心」→「数字重視」 2つのきっかけ
ワークマンがデータ活用経営を掲げ、エクセル研修を実施した理由は2つある。
1つは「作業服業界での成長に限界を感じた」からだ。
同社は12年の時点で、作業服業界で小売り1位を獲得していた。しかし、建設技能労働者が減少していることに加え、市場を取りつくしている現状を受け、作業服業界でのこれ以上の成長には限界を感じていたという。「作業服のワークマンのままではダメだ」と考える中で、客層の拡大を目指した。
「作業服は正直ダサいし、渋いですよね。でも、高機能で動きやすく、疲れにくいし、スーツと比較して着心地がすごく良いんです。『作業服』ではなく『機能性ウェア』として販売することで、職人さん中心から客層をより幅広く拡大したいと考えていました」(林さん)
2つ目は「“勘”中心の社風を変える」ため。
エクセル研修を行うまでは、在庫はカテゴリー・価格帯ごとに「〇〇カテゴリーの980円商品は合計50個ある」というように、大ざっぱに紙面上で管理していた。発注に関しても、顧客のほとんどが職人で、時期ごとの売れ筋商品をある程度把握できた。林さんは「朝早くには軍手が、雨が降れば長靴とカッパが売れる――言ってしまえば、“勘”で動いていたんです」と説明する。
「かつてのワークマンは上司の経験値が絶対で、優秀な若手社員が『今までの勘は間違っている。こうではないか?』と提案しても、聞き入れられないことが多かったんです。このままでは若手社員が伸びない、“勘”中心の社風を変える必要があると考えてデータ活用を強化。勘や経験に頼るのではなく、『数字』を共通言語にすることで、若手も部長・役員クラスと対等に議論ができる、オープンでフラットな組織の実現を目指しました」(林さん)
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