クックCEO、岸田総理に「iPhoneのサイドローディング問題」を直談判 なぜ日本の囲い込みに出たのか?:世界を読み解くニュース・サロン(1/3 ページ)
アップルのティム・クックCEOが2022年12月に来日した。「サイドローディング規制」について岸田総理に直談判したわけだが、どういった狙いがあるのだろうか?
2023年がスタートして早々の1月3日、米アップル社の時価総額が3兆ドル(約340兆円)を突破したと報じられた。3兆ドルという大台を超えたのは、世界の上場企業で初めてのことだ。
その一方で、1月に入ってから米大手IT企業が次々にリストラを発表している。米マイクロソフトは1万人以上の従業員の解雇を進め、米アマゾンも約1万8000人のリストラを始めた。グーグルも1万2000人の解雇を明らかにしている。ちなみにフェイスブックも22年11月に1万人規模のリストラに踏み切った。
リストラ吹き荒れる米国の大手IT企業のなかで、アップルだけは様相が異なる。リストラは聞こえてこないし、冒頭のように株価も上がっている。
そんなアップルのCEOであるティム・クック氏が、22年12月に来日した。来日の目的は、「サイドローディング」についての「陳情」だと言われている。これについては、クック氏の来日以降、サイバーセキュリティ関係者の間でも話題に上っており、23年には何か動きがあるのではないかと注目されている。
3年ぶりに来日したクック氏は、いま台湾の半導体企業TSMC誘致などでホットな熊本を訪れ、熊本城を観光してからソニーの工場を視察した。ソニーは、11年以降iPhoneのカメラに使用する画像センサーを製造している。その後は、東京や横浜も訪問した。
アップルはクック氏の来日に合わせて、同社がいかに日本経済に貢献しているのかを次々にアピールした。例えば、18〜22年の5年間で日本のサプライチェーンに1000億ドル以上の投資を行ってきたと主張。その間に、日本を拠点にするサプライヤーに対して30%支出を増やしてきたとし、現在では日本のサプライヤーは1000社ほどに上るという。
また公式Webサイトでは、日本で80万人の雇用を創出してきたと主張した。加えて、日本を拠点とする70万人超のデベロッパーが08年以降、App Storeを通じて240億ドルもの収益を上げていると自社の価値を強調している。
要するに、アップルが日本の発展にどれだけ貢献をしてきたのかを、これでもかとアピールしたのである。もっとも、こうした貢献は日本のマックファンやiPhoneユーザーの多くにとってはどうでもいい情報である。ただ、これらのアピールが誰に向けたものなのかを考えていくと、今回の来日の目的の一端が見えてくる。
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