クックCEO、岸田総理に「iPhoneのサイドローディング問題」を直談判 なぜ日本の囲い込みに出たのか?:世界を読み解くニュース・サロン(3/3 ページ)
アップルのティム・クックCEOが2022年12月に来日した。「サイドローディング規制」について岸田総理に直談判したわけだが、どういった狙いがあるのだろうか?
世界で広がる、サイドローディング開放
実際に、世界ではサイドローディング規制禁止の動きが強まっている。EUは22年11月、アップルやグーグルに対し24年からサイドローディングを開放するよう義務付けた。米国でも同様の措置が議論になっている。
こうした流れを受け、クック氏は日本に狙いを定めた。首相官邸を訪問し、日本との良好関係や日本経済への貢献を強調した上で、岸田文雄総理大臣にサイドローディングの規制を禁止しないよう要請したのである。
実は、岸田総理もアップルにお願いがあった。日本政府が推し進めているマイナンバーカード普及の協力を求めたのである。iPhoneを使ってマイナンバーカードの利用者を増やし、自らの政治的成果にする目論みだと考えられる。クック氏は「取り組みたいと思う」と答えているが、アップルにその気にあれば決して難しい話ではないだろう。
サイドローディングを禁じるのはセキュリティの観点では有効であるという認識が広がっている。筆者が話をした前出の政府関係者やサイバーセキュリティ企業関係者らも、安全性を理由にiPhoneを使っている。
とはいえ、Android OSにもさまざまなセキュリティ対策が施されており、一概に危険とは言い切れない。筆者はiPhoneとAndroid端末の両方を所有しているが、Google Playからアプリをダウンロードし、違和感なく使用している。
日本政府には、生活の一部となったスマホの安全性をぜひとも重視してもらいたいと思う。「サイドローディングできないならiPhoneは使わない」という人はそう多くないはずだろうし、そこに大きな不便が生じているとは考えにくい。その選択肢を残しておくべきだろう。
世界的に見てもやたらと経済安保を強調している日本だが、その路線を貫くなら国民の6割以上が使っているスマホの安全も維持してほしいと、多くのセキュリティ関係者が考えているはずだ。
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