東急は上げて、北総は下げて、京急は上げて下げて 鉄道会社の運賃には“意味”がある:やはり、仕方がないのか(1/5 ページ)
値上げに踏み切る鉄道事業者も増えているが、物価上昇だけが理由ではない。各事業者の狙いとは。
値上げの話が相次いでいるが、鉄道も例外ではない。
2023年3月のダイヤ改正や4月1日の年度替わりに合わせ、運賃や料金を上げる事業者は多い。なぜ、値上げをするのか?
まずは21年に国によって創設された「鉄道駅バリアフリー料金制度」の導入である。鉄道事業者が都市部において利用者から広く薄い負担を得て、ホームドアやエレベーターなどのバリアフリー設備を導入するものである。
「バリアフリーのため」という目的があれば、値上げをしやすくなる。鉄道運賃を値上げする際には国土交通省の認可が必要になるが、バリアフリー関連の整備計画を整えれば届出でOKとなる。
次に、動力費の高騰である。鉄道の運行に必要な電気などの費用が上がっていて、それを運賃に転嫁しないと経営が厳しい状況にある。このあたりは、昨今の電気代やガス代の値上げを考えればだいたい理解していただけると思う。
そして、コロナ禍で利用者が減少したことによる、収入減の補填(ほてん)である。新型コロナの感染が広がった当初に比べて、鉄道を利用する人は増えつつあるものの、完全に元に戻ったわけではない。鉄道の運行本数を減らして、対応している状態である。
こうした背景があるので、電車に乗ると「コロナ前のように混雑しているなあ」と感じられるかもしれないが、実際には乗客は減少しているのだ。乗客が減少したので列車を減らす→運賃や料金の収入も減っていく、という状況が続いている。
というわけで、鉄道会社の経営は厳しい状況に陥っている。「だから値上げが必要なのだ」ということになる。
鉄道駅バリアフリー料金制度の件は、鉄道利用者の助け合いの観点からまだ理解ができる。しかし、食料品や日用品などの値上げが相次ぐ中で、運賃の値上げが発表されると「え、こちらも?」と感じている人も多いのではないだろうか。経営という側面から考えると、この値上げは仕方がないものの、一般生活者の観点からすると、値上げでさらに苦しい状況を生み出しているようだ。
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