2023年は「ハイブリッド再評価の年」になるかもしれないワケ:鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(1/3 ページ)
「サクラ」「eKクロスEV」の躍進などを受け、2022年は「EV大衆化元年」とも呼べるような年でした。では、23年の自動車業界はどのような年になるのでしょうか?
ここ数年、さかんに「EVシフト」が叫ばれてきました。そして、実際にそれを現実化する動きもあります。2022年は、トヨタがスバルと共同開発した「bZ4X(スバル名はソルテラ)」を発売しました。これによって、スズキとダイハツを除く、全ての日系自動車メーカーがEVを販売することになりました。
また、日産と三菱自動車は軽自動車EVである「サクラ」と「eKクロスEV」を投入。この2台の軽自動車EVは、自動車メディアからも高く評価され、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」「RJCカーオブザイヤー」の2冠を達成しました。まさに、22年は「EV大衆化元年」とも呼べるような年となりました。
注目度は高いが、売れていないEV
EVへの注目度が高いことは間違いありません。では「EVが売れている」のかといえば、実際のところそんなことはないのです。日本自動車販売協会連合会が発表した「2022年1〜12月の燃料別メーカー台数(乗用車)」を見ると、1年間に売れたEVの数は3万1592台。国内販売約222万台の新車販売のうち、わずか1.4%にすぎないのです。18年は0.9%、19年は0.8%、20年は0.6%だったことを考えれば大きな伸びですが、絶対数はまだまだ売れているというほどの数字ではありません。
高い評価を受けた「サクラ」「eKクロスEV」はどうでしょうか。全国軽自動車協会連合会が発表した「通称名別新車販売確報」を見ると、22年の「サクラ」の販売台数は2万1887台で、「eKクロスEV」は4175台。発売が6月であり、わずか半年で2万台以上を売り上げたのは、単体のEVとしては大ヒットといえるでしょう。しかし、あくまでも「EVとしては」という前提条件での話。その数は、最も多く売れた軽自動車のホンダ「N-BOX」の年間販売台数20万2197台の、わずか10分の1ほどにしかすぎないのです。
関連記事
- 新型「プリウス」世界初公開 豊田社長とケンカしても、開発陣が譲らなかったことは?
トヨタは11月16日、新型「プリウス」を世界初公開した。1997年の誕生から25年間、ラテン語の「開拓者」に由来するその名の通り、新世代のエコカーとしてHEVの普及を牽引したプリウス。 - トヨタ、新型「プリウス」発売 価格は275万円から
トヨタ自動車は1月10日、昨年11月16日に世界初公開した新型「プリウス」を発売した。第1弾として、走行状況に応じて、モーターとエンジン両方の動力を利用できるシリーズパラレルハイブリッド車(HEV)を展開する。 - 発売から3カ月 新型クラウンは売れているのか?
今年の7月に発表された新型クラウン。この秋からは、第一弾となる「クラウン(クロスオーバー)」の販売が開始されました。どれだけ売れているのでしょうか? - 2022年の自動車市場を振り返る 注目されたクルマ、実際に売れたクルマは?
コロナ禍になって3年目。今年はコロナ禍以前のように、数多くの新型車が登場しました。どんなクルマが投入され、注目されたのでしょうか。2022年の自動車市場を振り返ります。 - 日本のカー・オブ・ザ・イヤーは“2つ”ある 「今年のクルマ」から見えるそれぞれの違いとは?
日本カー・オブ・ザ・イヤーの最終選考の結果が12月8日に発表されます。一方、11月9日にはRJCカーオブザイヤーの最終選考が行われました。「おかしいな」と思った方もいるでしょう。「11月9日に最終選考があったのに、12月8日にも結果発表をするとは、どういうこと?」と。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.