「スマートサロン」ってどんなところなのか 全国初の店舗を取材した(5/5 ページ)
美容室向けヘア化粧品メーカーのミルボンが新事業「スマートサロン」を始めた。リアルとデジタルを融合させ、自分に合ったヘアケア製品を選びやすい新たな購入体験を提供するという。どんな事業なのか。
オープン直後の売上は好調。今後の課題は?
スマートサロンを導入する際の美容室のコスト負担は、重機を含むスターターキット約50万円、運用コスト9500円/月に加え、先述したミルボンIDの運用コスト、店舗改装費、タブレット端末・通信費などだ(金額は変動する可能性あり)。
初期費用のハードルはそれほど高くないように思えるが、大幅な店舗改装を伴う場合はチャレンジングな試みになるのかもしれない。
営業開始から3日後、ミンクスに反響を尋ねたところ、ヘアケア製品の売り上げは予想以上に好調とのこと。現状は以前からミンクスに通う既存客が100%で、10〜50代まで幅広い層が利用している。
美容師からは、「タブレット連携や体験提供により、商品の説明がしやすくなった」とのコメントがあった。今後は「商品の購入のみでも利用できること」の認知を高め、集客拡大を目指すという。
ミルボンの広報担当者に今後の課題を尋ねると、「横展開にあたりブランディングやサービスレベル、オペレーションの水準をどう保つか」との回答だった。
「スマートサロンは当社の直営店ではなく、運営するのはあくまでも美容室です。水準を維持して横展開できるかは懸念材料ですが、当社の営業担当が各サロンの声を聞きながら並走することに尽きるのかと。各サロンに頻繁に足を運び、現場での研修も実施します」(ミルボンの広報担当者)
美容室専売のヘアケア製品は「プロが認めた品質である」というお墨付きがあり、顧客にとって引かれるのは確かだ。一方で、価格の高さは相変わらずハードルになる。ヘアケアに投資したい層にリーチすることが最重要課題かもしれない。
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