連載
最善のエコカーは「PHEV」か「HEV」か 現時点での最適解とは:高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)
クルマを取り巻く環境がますます厳しくなっている。日本の技術力や開発力が問われ、解決策を示せれば国際的な注目度が高まるのは言うまでもない。これから迎える正念場に対して、どの道を進めばいいのだろうか。
中国に握られているリチウム利権への対抗策はあるか
結局のところ脱炭素を実現させるのは法規制ではなく、テクノロジーの進歩でしかないのだ。だが電動化を闇雲に進めることは、さまざまな弊害を生むことになる。その一つがリチウムの高騰だ。
このところテスラ以外でBEVの価格が上昇しているのは、リチウムの価格が高騰していることが大きな理由だ。リチウム価格の決定権を中国に握られている以上、こうしたリスクは織り込み済みだったはずだが、実際には対抗策がないまま、値上げせざるを得ない状況に陥っている。
BEVにはたくさんのリチウムイオン電池が搭載されることで長い航続距離や実用性を確保している。素材価格の高騰により価格が上昇しており、環境負荷も含めて存在価値が問われている。航続距離を180キロにしてバッテリーの搭載量を減らした日産サクラは日本で使うBEVとして理想的な1台だ(写真:日産自動車)
こうした問題を解決するのはテクノロジーの進化しかない。相手は現状の環境では最強のカードを持っており、自分から譲歩する理由など見当たらないからだ。もちろん完全に自国だけの消費や輸出だけで使い切ることはできないし、そんなことをしたら貿易摩擦で他の産業にも支障が出る。
そのため適度に材料を輸出し、価格をコントロールしながら自国に有利な状況をつくり出している。これが今のEVにおける国際リチウム市場の状況と言っていいだろう。
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