「学歴フィルターはあります」──関係者が次々に明かす、日本のヤバい採用現場:採用の真実とウソ(2/3 ページ)
コロナ禍で就活の在り方は大きく変わった。オンラインで効率化された結果「学歴フィルターは少なくなるのでは」と期待したいところだが、実情はそうではない。人事ジャーナリストの溝上氏が、採用現場のリアルを解説する。
なくならない「学歴信仰」
特定の大学群を採用活動で優先的に扱う大学フィルターの存在は、偏差値上位校から採用したいという“学歴信仰”が今も企業に根強いことを示している。企業の求人媒体の営業を担当している人材サービス会社の社員もこう話す。
「採用に際しての学歴フィルターや男女差別はなくなったと言われることもありますが、採用現場ではそんなことはありません。企業の人事担当者から『ウチの営業部は女性はすぐ辞めるから男性を採用したい』とか『最低でもMARCH以上じゃないと即戦力にならないよ』といった要望を受けることも多いです。ただし、さすがにそうした要望に合わせた募集の掲載は禁止されています。結果として採用担当者が応募者の書類を見て、大学名などで判断しているので、応募者はどうして落とされたのか分からない、というブラックボックス化しているのが実態です」
インターンシップにも広がる「学歴フィルター」
実は、学歴フィルターは採用と直結しているインターンシップでも行われているという。
大手医療機器メーカーの人事部長は毎年8月のサマーインターンシップ選考で大学名によるフィルタリングをしていると率直に認める。その上でこう語る。
「インターンシップ参加者の選考では偏差値上位校を優先的に選んでいるのは間違いありません。ただし、インターンシップで上位校の学生を囲いこんでも採用までフォローするには労力がかかります。それができるのは資力・体力のある業界でもトップクラスの優良企業です。偏差値上位校の学生はライバルの大手企業に流れるし、学生のフォローには苦労しています」
同社は業種の特殊性もあって、東工大など技術系の大学や国立大の薬学部などの学生を優先的に選考しているという。
では文系学生も多い金融機関はどうなのか。金融業の人事担当者はこう語る。
「採用選考の前段階なので本当はたくさんの学生にインターンシップに参加してほしいのですが、担当社員の選任など各職場との調整など労力や手間もかかり、どうしても受け入れ人数に限りがあります。そうなると当社の採用実績校や優秀な学生が多い旧帝大などの国立大学や早慶の学生などに参加してもらいたいという気持ちになる。その上で就業体験を通じて観察することもできます」
インターンシップの参加希望者は人気企業ほど多い。採用選考の一環となると、どうしても学歴優位になりやすいということだ。
同社はインターンシップに参加した学生を観察し、その中から内々定者を出すという事実上の採用選考を行っている。一方、エントリーシート提出による一般選考枠でもフィルターを使っている。具体的には「エントリーシートのデータから旧帝大と早慶、MARCH、関関同立、日東駒専レベルに分類し、体育会系所属の有無、性格テストなどを使った属性を入力して、当社に合う学生を選び出すというデータマッチングを行っています」という。
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