サントリー、新商品は空のボトル? 水道水をミネラル水の味わいに一変させる驚くべき仕掛けとは:水飲料の新体験
家庭の水道水をミネラルウォーターのような味わいに一変させる――。サントリー食品インターナショナルは2月9日、新商品を発表した。見た目は空のペットボトル。キャップに植物ミネラルエキスを含んでおり、ボトルに飲用水を入れてキャップをひねれば、瞬時にミネラルウォーターのような味わいに変化する。
家庭の水道水がミネラルウォーターのような味わいに一変――。サントリー食品インターナショナルは2月9日、新商品を発表した。見た目は空のペットボトル。キャップに植物ミネラルエキスを含んでおり、ボトルに飲用水を入れてキャップをひねれば、瞬時にミネラルウォーターのような味わいに変化する。国内の清涼飲料市場でトップシェアを誇る「サントリー天然水」を販売する同社が、あえて水飲料の新形態に挑む狙いは何なのか。
新たに開発したのは「minel」(ミネル)という商品。約1.5リットルの専用ボトルとキャップで構成される。キャップには、1個当たり2ミリリットルの「植物ミネラルエキス」を充填(じゅうてん)しており、ボトルに飲用水を入れてキャップを装着すれば、ミネラルエキスがプシュッという音とともに水に噴射される。
キャップには、水道水の塩素臭を減らす微粉砕竹炭なども配合しており、一瞬でボトルの中の水を新鮮でコクのある味わいに変化させるという。ボトルは3カ月程度を目安に繰り返し使えるリユース型。キャップは1回使い捨て型だ。
「ライフスタイルが多様化する中で、ペットボトルに入った水とは違う新たな提案をしたいと考えた」
9日の発表会で、同社の齋藤和弘・代表取締役社長は開発の経緯をこう説明した。購入した水のペットボトルを自宅に保管するスペースがない、購入して運ぶのが重い――。既存のペットボトル商品を不便だと感じる層に向けて、新たな切り口として提示した。
一方で、同社は既存商品「サントリー天然水」の売れ行きが好調だ。飲料総研(東京都新宿区)の調査によると、サントリー天然水の2022年の販売数量は1億2980万ケース。18年から5年連続で国内清涼飲料市場の首位をキープしている。
盤石な人気を持つサントリー天然水を手掛けながらも、あえて水の新たな商品開発に打って出るのはなぜか。背景にあるのが、人口減にあっても高まり続ける飲用水の需要だ。
同社の調査によると、1日に飲む水の量は22年で平均991.6ミリリットル。10年前の546.3ミリリットルから約1.8倍に増えている。健康志向の高まりなどが背景にあるとみられ、ミネラルウォーターの年間消費量に限れば、過去30年で20倍に成長しているという。
飲用水の需要が高まる一方で、世界的に水資源は不足している。「水と生きる」を企業理念としてきた同社は、03年から20年にわたり、森林の水源涵養機能を高めることを目的とした「天然水の森」活動を推進。これまでに全国22カ所(約1万2000ヘクタール)の森林保全・再生活動に取り組んできた。
新商品ミネルもリユースボトルのため、環境負荷の軽減が期待できる。齋藤社長は「水質の保全と環境保護を進めながら、水に対する新たなチャレンジを今後も続けていきたい」と話す。
ミネルは9日から28日まで、専用ECサイトで抽選販売の応募を受け付ける。初回限定minelスターターセット(専用ボトル1本、キャップ6個セット)は1380円。抽選の当選人数は5000人。購入者からのレビューやデータを分析しながら、市場を育てていくという。
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