鳥取県のAIアバター職員「YAKAMIHIME」は何者? 担当者に狙いを聞いた:“気まぐれ”さが愛嬌(2/2 ページ)
鳥取県は「メタバース課」を立ち上げ、AIアバター職員「YAKAMIHIME」(やかみひめ)を採用。コロナ禍で落ち込んだ観光需要を回復する狙い。
「メタバース関係人口増」で見込む効果
県はメタバース課の立ち上げ、YAKAMIHIMEの採用によって、県の知名度を向上し、観光需要の獲得や特産品の販売につなげる狙い。そのために、メタバース空間内で「関係人口」(定住、観光とは別の方法で、メタバース内で地域とかかわる人々を指す)を増やしていく姿勢だ。
リアルで観光客を増やすためのイベントや施策を講じる場合、距離や場所、人数の制約などさまざまな障壁がある。しかし、メタバース上では気軽にいろいろな取り組みにチャレンジできるという。
「メタバース上で情報発信を行うことで、世界中の人に県の観光地について学んでもらったり、職員と交流してもらったり、接点を持つことができます。今までリアルだけではリーチできていなかった層とのつながりが生まれることで、『メタバース関係人口』を創出したいです。そして将来的には、コロナ禍で打撃を受けた観光の回復につなげていきたいと考えています」(河上さん)
他にも、メタバースに慣れ親しんでいる人、Web3.0に興味がある人とのつながりが生まれることで、県を支援する動きが加速することを目指している。
「『県の特産品を買ってみよう』『県が困っているようだから助けてあげよう』など、利用者が自発的に県を支援するような動きが加速してほしいと考えています。県に関するNFTの販売や、県に関する情報の拡散をしてもらえたらうれしいですね」(河上さん)
高まる注目 今後の展望は?
現状の懸念点について聞くと、「YAKAMIHIMEの回答の精度」だという。2月2日に「メタバース課」立ち上げの発表をしたところ多くのメディアに取り上げられ、YAKAMIHIMEへのアクセスも大幅に増加した。
「YAKAMIHIMEはまだ県について勉強しきれていないことも多いのが現状です。正しい、十分な回答ができていないかもしれません。『AIだからもっとしっかり知っているとおもったのに』とならなければいいなあと考えています」(河上さん)
今後はYAKAMIHIMEの精度を高めつつ、メタバース上で特産品の販売をしたり、イベントを開催するなど、新たな取り組みを強化する姿勢だという。
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