きっかけは父の強烈な一言 パナ社員が開発した新型「調理家電」は介護食をどう変えるのか:食べることをあきらめない(4/5 ページ)
病気や障がいなどにより、噛む力や飲み込む力が低下してしまった人と、その介護をする家族の願いをかなえようと開発された調理家電がある。パナソニック発のスタートアップ企業であるギフモ(京都市)が手掛ける「デリソフター」だ。
パナソニック社内のビジネスコンテストに応募
そうした中、2016年にパナソニック社内のビジネスコンテスト「新規事業創出活動Game Changer Catapult(ゲームチェンジャーカタパルト)」がスタート。2人は1期生として、「嚥下障害がある人もない人も、家族みんなが同じ料理を食べられる」調理家電のアイデアを応募した。最終的に44テーマから5テーマに絞られた中で2人のアイデアは見事採用され、商品化の一歩を踏み出した。
2人だけでは解決しきれない技術的な課題は、社内の有志メンバーが集まったサークル「Team Ohana」で、少しずつ解決していった。どうすればより短時間で調理できるのか、形はそのままにタンパク質を柔らかくするにはどうすればいいのかなど技術的な問題を、メンバー一丸となって解決していったという。
商品化に向けてこうした努力を重ねた結果、パナソニック、ベンチャーキャピタルのスクラムベンチャーズが共同で設立したスタートアップ支援企業のBeeEdgeから出資を受け、19年04月にギフモ(京都市)を設立。デリソフターの事業化に踏み切った。
「ギフモ設立当時は、介護施設を回るなどして1台1台販売しました。そうしているうちに、購入していただいたお客さまから、同じ介護の食事の悩みを抱える方々への口コミで徐々にデリソフターの認知度が上がっていきました」(水野さん)。21年1月末からはECサイトを立ち上げ、これまでに1000台以上を販売したという。
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